日刊ニュース

2012.04.09 のニュース

原発の構成比は調整が困難 ―複数の選択肢で経済影響など分析へー

 総合資源エネルギー調査会でエネルギーミックスの選択肢をめぐり電源構成を識論しているが、原発の比率についてはゼロから35%というように意見が大きく分かれており、一本化することは不可能である。そのため2~3の選択肢を提示してとりまとめを行ない、最後は政治決着となりそうである。
 原発をゼロとする反原発の委員が8名、連名で反論の意見書を提出するなど、調整は難航している。当初から原発反対の立場で対応しており、妥協する余地もなく、原発推進派との意見対立はスタートから平行線を辿っている。それだけ福島原発事故の影響は大きく、この状況下での意見調整は困難となっている。
 エネルギーミックスの選択肢については、一本化は難しく、そのため各委員から意見を求めた。その結果を事務局(経済産業省)がまとめ、議論のたたき台として示した。だが、この事務局案に対して8名の委員から①我々が主張してきた「定性的・戦略的なエネルギー政策」の選択肢のあり方を無視している(結局、原発を中心とした電源の割合から選択肢が作られている)、②%の数字とは異なる、国民が選択すべき価値観や社会像、政策の方向性がわからない、③%は消費者の選択の結果であり、政府が設定すべきでないという「第3局」の意見を無視している、④原発推進(20%以上維持が9名)に著しく偏っている、など反論し、三村委員長にも議事の進行方法に開題があるとの反発も出ている。
 今回の原発政策については、ゼロベースで議諭するとの方針から原発反対派も委員に加えて、広く国民的議論を行なうことになっており、当初から予想されていたものである。まず、前段で原発を何%という数値を議論するのではなく、国民が選択すべき価値観や社会像を示し、社会のデザイン、哲学を提示することが重要であるとして定性的な評価を求めている委員も多い。
 また、反原発の委員は、原発に代わって再生可能エネルギーを50%~60%という高い数値で示しているが、太陽光、地熱、風力などは分散型の地域エネルギーであり、小規模の発電であるため、これが稼働しても送電網が繋がらないと能力が発作できない。送電のためのコストは巨額となるが、コスト負担について現実離れした議論も行なわれている。
太陽光発電も、現在ブームとなっているが、買取価格の決定次第で普及状況が大きく変わるため、冷静に見定めるべきである。太陽光発電は、ドイツが成功事例としてあげられているが、買取制度を見直し、買取価格の引き下げが現在検討されている。アメリカもオバマ大統領がグリーンニューデール政策で風力、太陽光発電の開発を打ち出したが、財政難で制度の打ち切り、太陽電池メーカーの破綻など見直しが行なわれている。日本も7月から買取価格を決めて実施する方針であるが、買取価格が高値で決まれば、電気料金の値上げとして反映され、結果的にユーザーが負担することになる。
 次回(18回)は11日に開催され、エネルギーミックスの選択肢について議論するが、複数の選択肢ごとに経済影響分析、政策手段の検討を行なうことになる。原発問題は、意見調整ができないまま、民主党政権の判断に委ねられそうである。

提供元:株式会社 石油タイムズ社
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