日刊ニュース

2012.06.11 のニュース

原油安、円高、減販が重なる ―6月を乗り切り、7月に増販を期待―

 みずほ総合研究所の調査(4日)によるとガソリン価格は、146円/Lとなり、前週に比べて1円の値下がりとなった。9週連続の値下がりとなり、4月初めが158円であ
っため、累計では12円の値下がりとなった。足元の原油価格が下落しているため、ガソリンの仕切価格の値下がりとなることは必至となっており、今後も末端市況は値下がりする。しかし、仕切価格の値下げを予測しての先取り値下げは避けたいところである。
 6月2日からの仕切価格の改定では、据え置きと40銭~1円の小幅値下げとなったため、末端市況は横ばいを狙っていた。だが、6月入りで原油価格が急落し、為替が円高に転じたため、原油安を先き取りした形で値下がりとなってきた。
 6月のガソリン販売は不需要期であるため、例年減少傾向にあるが、これに市況下落が重なり、販売業者は苦戦が強いられている。販売減で需給も緩和しているため、業転市況は値下がりする状況となってきた。販売減で需給が緩和し、加えて原油安、為替が円高という悪い条件が重なっている。そのため市況が下落することはやむを得ないが、下げ過ぎて利益を吐き出すことは避けたところである。
 販売業者の中には、業転を購入して安値で原作し、シェアを確保する戦略にでる者もいるが、安値で販売しても増販は期待できないため、ここは採算販売に徹するべきである。理屈では分っているが、周辺SSが値下げすると、対抗するため安値で販売せざるを得ない。こうした背景には減販での収益減による、販売業者間の焦りがある。
 とくにHC、量販店が先行して値下げしており、安値は130円の前半となってきたことから、これらの周辺SSは厳しい状況となってきた。一度、下落局面に入ると加速して下落することになり、下げ止めに転じることは難しい。
 市況が反転するには原油価格の値上がりを待つことになるが、原油価格はWTIで84~85ドル/バーレル程度、中東産は100ドル割れ、為替が78~79円/ドルと円高となり、コスト安となってきた。原油安は欧州の財政危機による株安が原油価格の下落に連動しているもので、アメリカ、日本も株が値下がりしてきた。為替が円高で推移すると、輸出産業は打撃を受けそうであり、日本経済も東日本大震災から、ようやく景気回復の兆しも見えてきた時期であり、円高で先行きを懸念する見方も出てきた。
 それでも、原油価格の下落はいつまでも続くことはなく、いずれは反転する。ここ数日は、安値で横ばい傾向から、反発する動きをみせているため、底打ちとなりそうである。
 国内も6月は減販で需給緩和という悪環境にあるが、7月に入ると、夏場の需要期に入るため、需給も締まり市況は安定する。製油所の定期修理も明けて、増産体制となるが、7月に入り、増販が見込まれれば、販売業者の対応と気運が変わり、過当競争が改善されそうである。
 6月末まで、あと少しの辛抱となる。夏場になると、アメリカではドライブシーズンに入るため増販となり、原油価格も底打ちから反転する。そのため原油価格の動向をみながら慎重に市況対策に取り組むことが重要となる。

提供元:株式会社 石油タイムズ社
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