日刊ニュース

2012.06.29 のニュース

ガソリン対策は当面様子待ち ―7月入りの原油動向で方針を決めるー

 ガソリンの仕切価格は4月から連続して値下がりしており、販売業者は市況対策に取り組み、下げ止めから値上げのタイミングを模索しているが、難しい状況にある。現在は原油価格、仕切価格の動向を見極めるための様子待ちとなり、7月に入ってから対応策を決める方向にある。
 原油価格の下落に加え、為替が円高で推移しているためコスト安となっている。そのためガソリンの仕切価格は4月以降の週次改定の累計で約17円/L(6月29日まで)の大幅な値下がりとなっている。JX日鉱日石エネルギーでみると3月の平均(週次改定を日数加重平均)では10円70銭の値上げとなったが、以後4月が60銭、5月が6円30銭、6月が6円50銭で4~6月計で13円40銭の値下がりとなっている。
 一方、末端市況は、みずほ総合研究所の週動向調査でみると4月初め158円であったものか、142円(18日)までの値下がりとなり、その間16円の値下がりとなっている。仕切価格の値下げが累計では17円であるため、調査価格とほぼ一致する。しかし、首都圏の実勢のガソリン市況は、140円を割り135円が多くなっている。量販店、HCなどの安値は127~129円とり、さらに値下がりが予想されている。このように、地域によっては25円以上の値下がりと、仕切価格の値下がり以上に末端市況は値下がりしているため、マージンの減少でSS経営は厳しくなっている。
 販売業者サイドでも末端市況の値下がりが加速するため、早急に市況対策に取り組み、下げ止めを図るべきとの見方も出てきている。だが、ここで市況対策に取り組み、下げ止め、安値の底上げを行なっても、次週で仕切価格が値下げとなると、末端市況は値下がりするため、その努力は意味のないものとなる。これまでも、幾度となく市況立直しの機会はあったが、空振りに終わっているため、様子待ちとなっている。
 現在の原油価格はWTIが80ドル/バーレル割れ、中東産が90ドルと、底値との見通しとなったことから、今後は、反発が見込まれている。だが、原油価格と為替の先行きは不透明で、予測が外れるケースが多く、7月に入り、原油価格の動向を見定めてから方針を決めることになる。
 7月に入れば、アメリカはガソリンの需要期となり、増販の影響から、原油価格も連動しての値上がりが予想されている。産油国も原油価格の100ドル割れが長期化すると、財政難から減産で対応することも予想され、また、イランの核問題などの地政学的なリスクも存在しており、いつまでも下落することはなく、いずれは反発する。その時期がいつ到来するかにあるが、7月がヤマ場と予想されている。
 国内も7月に入れば、夏場の需要期となり増販が見込まれる。7月~8月は1年間で販売数量が多い時期であるため、増販、増益が期待される。減販傾向は続くが、各月500
万KL台の販売数量が見込まれている。しかし天候に大きく影響されるため、好天気、猛暑となれば増販となるが、冷夏ともなれば減販となるなど予想は難しい。元売、販売業者
ともに、7月~8月の増販を期待しでいるが、夏場で利益が確保できないとなると、今年は一段と厳しい年となる。

提供元:株式会社 石油タイムズ社
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