2012.07.18 のニュース
仕切値と業転 価格差是正を再要請 ―従来方針の実行性が問われるー
全石連経営部会(中村影一郎部会長、JX系)は12日に今年度の初会合を開き、活動方針を決めた。全石連通常総会は、6月7日に松山市で開催され、関会長を再選、新体制が発足した。中村経営部会長は再任となったが、委員は交代して新メンバーが就任し、新体制での新活動方針を決めたもの。
新活動方針は、販売業者の安定収益確保の阻害要因となっている廉売店と価格競争の排除、経営構造改善を推進することを基本に、具体的には、①廉売(安値販売)の要因となっている業転と仕切価格との価格差の是正、②元売の卸価格フォミュラについて全石連として要望をまとめ、元売の理解を求める、③元売のSS経営指数(V指数)の活用は量販に際して廉価基準となるため新たな指標を模索すべきである、などの点をあげている。
中村部会長は「新活動方針といっても従来から全石連として取り組んでいるテーマである。これらの問題を、いかに実行性のあるものにするか、これから検討して詰めていくことになる」と述べている。
これらの問題点は従来から指摘されており、元売各社、資源エネルギー庁、公正取引委員会(差別対価など)に対して要望していたが、改心されずに今日に及んでいる。最大の問題は仕切価格と業転価格との格差問題、仕切価格のフォミュラのあり方となる。だが、以前から要請は行なわれていたが平行線を辿っており、販売業者の要請を、元売がどこまで受け入れるかが注目される。
ただ、東日本大震災以降、SSなどサプライチェーンの維持・強化策が求められ、石油製品の供給体制整備が重要視される時代に変わってきた。規制緩和による過疎化問題も深刻化の方向にあり、行き過ぎた自由化に対して歯止めが必要であるとの声も出てきた。
さらに、EVなど次世代自動車の普及、人口の減少によるガソリン販売の減少、原油価格の急落による元売の在庫損の発生、高度化による設備処理の実施、など状況が大きく変化しており、販売業界との対話を期待する情勢になっている。元売サイドも社長が交代しており、石油連盟も木村会長(JX)が就任、新体制がスタートしていることもあって、新しい対話ができるとの期待感も強まっている。
問題となっている仕切価格と業転価格との価格差問題は、元売が新・新体系を導入した22年4月以降、ブランド料として4円~5円/Lを加算、指標価格、算定期間の変更を実施したことから価格差が明確となり、販売業者から「不当な価格差であり廉売の要因となるため是正すべき」との声が出ていた。県石商などで問題を提起しても話が通じないため、全石連の経営部会で対応策を検討することになったもの。
価格差問題は石商での市況調査でも実証されており、公取委も調査を予定している。以前の調査では大幅な価格差が実証され、月決め制から業転市況にリンクした、週決めの新体系へと移行した契機となった。
仕切価格の体系は、これまでも数回改正しているが、今回も改正を検討するとの見方も出ている。だが、元売、販売業者が共に適正なマージンを確保する体系を打ち出すことは難題である。