日刊ニュース

2012.08.14 のニュース

通期見通しは下方修正も ―在庫影響を除くと予想と同水準―

 石油各社の石油事業の4月~6月決算は、原油価格が期中に急落したため在庫評価損が発生し、市況も急落したことからマージンも悪化、大幅な減益、赤字となった。そのため今後の業績回復を狙っているが、4月~6月の原油価格急落による在庫影響の評価損のような、外部要因による影響を回避することはできない。だが、原油価格も値上がり傾向をみせており、猛暑によるガソリンの増販が見込まれるため、マージン確保を狙って業績回復に取り組むことになる。 
 原油価格の変動によって業績に影響を受けるのが石油業界の特長である。各社の通期の見通しは原油価格(ドバイ)を7月、8月以降は100ドル/バーレルと見込み、年間平均を102~103ドル(5月の予想は110~115ドル)と修正している、為替は80円/ドルを前提として算出している。その結果、5月の前回予想を下方修正して減益としている。前年は原油価格の値上がりで在庫評価益が増加し増益となったため、前年比でも大幅な減益となる。
 原油価格の見通しでは、足元の100ドル、為替を80円と予測としているが、あくまでも目安であり、この予測通り推移することはなく、変動が見込まれている。ここにきて原油価格(ドバイ)は107ドル程度と100ドルを超えているが、為替は78円台と円高で推移している。前述した通り、決算の数字では原油価格の動向がポイントとなる。ここで再度、急落すれば、赤字となるが、幸い現在は値上がり基調で推移している。値上がり局面では、コスト高による仕切価格の値上げ、ユーザー転嫁、マージンの確保が今後の課題となってくる。
 最近の傾向として、原油価格が値上がりとなると、需給も締まりコスト転嫁が浸透するケースが可能となってきた。以前は原油価格が急騰すると転嫁が遅れ、石油業界(元売、販売業者)が損失を負担したが、現在は、週決め、市場連動制が定着したこともあり、値取りが達成されている。同時に在庫評価益も発生するため、原油価格の値上がりはプラス材料となる。逆に4月~6月時のように原油価格が急落した場合は、先取りして値下げしたためマージンが減少、在庫評価損も発生するためマイナス材料となる。
 各社の見通しをみると、JXホールディングスのセグメント別の経常利益[石油精製販売事業](石油化学製品を含む)は4月~6月が909億円の損失、上期で380億円の損
失、通期では770億円の利益を見込んでいる。5月の通期予想の1570億円に比べると800億円減となる。通期の利益は770億円であるが、在庫評価損が780億円あり、この影響を除くと1550億円(うち石油製品は1210億円、石油化学製品は340億円)となる。5月予想の1570億円と同水準となるとして後半での改善を見込んでいる。
 出光興産の通期の連結営業利益見通しは550億円で5月予想の1100億円に比べると550億円減となる。うち「石油製品の営業利益は190億円となり、予想の560億円に比べると370億円減となる。しかし、在庫評価損を除くと470億円となり、予測も在庫影響を除くと470億円で同水準となる。
 見通しの数字は、減益の下方修正となるが、在庫の影響を除くと予測と同水準となる。

提供元:株式会社 石油タイムズ社
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