2012.09.14 のニュース
災害時にも国備の放出が可能に ―JOGMECが産投枠を活用へー
JOGMEC法改正、備蓄法改正の施行期日を決める政令が11日の閣議で決まった。備蓄法改正の施行は11月1日から、JOGMEC法の改正は9月15日からとなる。
これらの法改正は、災害時における石油の供給不足に対処するため、①災害時の石油・LPGの供給に関する体制を構築(備蓄法の改正)、②LOGMECの資源開発に係わる
支援機能の集約化・整備を行なう(JOGMEC法の改正)ものである。改正案は、前国会に提出され8月29日に成立した。野田首相に対する問責決議案が可決したが、この直前に滑り込みで成立した。
備蓄法は、東日本大震災の教訓を踏まえて石油、LPGの供給体制を強化、再構築するため改正するものである。現行の備蓄法によると、国家備蓄の放出は「紛争などにより、わが国への原油の供給途絶が生じた場合のみ放出することができる」ことになっている。震災のような災害時でも備蓄が放出できるよう法改正したものである。現行の備蓄法が施行された時期は、中東などで戦争・紛争が発生した際に原油輸入が途絶した場合の石油ショックを想定していており、国内の大震災などは想定していなかった。つまり国家備蓄(原
油)を放出するのは、中東紛争で原油の輸入が途絶した場合に限定された。そのため、過去にも原油価格が急騰した場合に放出すべきとの議論もあったが、これまで放出されたことはない。
アメリカの戦略備蓄は、原油価格の急騰時に放出できるため、日本も同じように放出すべきとの意見もあるが、原油価格の急騰の判断は難しい。備蓄放出で値下がりするとは図らず、タイミングを失うと急騰に拍車をかけることになる。アメリカでも備蓄放出が裏目に出て失配したケースもあった。
日本の備畜は、国家備蓄として原油で5000万KL、製品で1日分を確保している。民間備蓄(原油と石油製品で)は約90日分を保有し ている。一方、LPGは国家備蓄が3基地で65万トン、建設中が2基地(85万トン)あり、民間備蓄は50日分を保有している。
東日本大震災に際しては、石油製品の場合は民問備蓄義務量の引き下げで対応、石油製品を市場に放出した。緊急時に備えて原油で国家備蓄を保有しているが、この原油を処理して石油製品にするには時間がかかるため、石油製品の国家備蓄を実施することになり、24年度には1日分を確保した。そして、さらなる備蓄強化のために、25年度予算要求ではガソリンなど中間留分を3日分増強するため計上している。
一方、震災時のLPGの対応では、国家備蓄LPGを隣接する。『鹿島液化ガス共同備蓄』へ放出(民間備蓄との交換)することで被災地へのLPGの安定供給確保に貢献した。これにより災害時の国家備蓄放出の役割の重要性を実証した。LPGは国家備蓄がそのまま製品として消費きる特長もあり、備蓄放出の効果は即効性がある。
JOGMEC法の改正は、石油・天然ガスの探鉱開発の出資などに、別途、産投出資枠の資金が活用できることとなり、すでに今年度の予算を計上している。この予算執行をするためには、現行法の改正が必要であった。