日刊ニュース

2012.11.16 のニュース

灯油、値上がりシーズン入り ―過疎化で安定供給に支障を懸念―

 灯油がシーズン入りとなり、灯油高、ガソリン安の価格体系となってきた。先物市況でみると、灯油は67円/L、ガソリンは62円/Lとなり、灯油が5円高となっている。原油価格は53円/Lで灯油とのスプレットは14円、ガソリンとは9円となっている。業転市況も灯油は69円、ガソリンは66円となっており、灯油の方が3円高となっている。系列仕切価格は灯油が70円、ガソリンは74円でガソリン高となっているが、いずれは接近する。
 灯油は在庫も積み増しを終えて取り崩しとなってきた。夏場のガソリン需要期では『ガソリン高の灯油安』となっていたが、冬場になると「灯油高のガソリン安」に逆転する。このような価格体系のパターンが定着している。冬場になると灯油は値上がりすることになるが、これも高値となると消費節約が浸透して販売減となることが懸念される。
 これから12月入りで本格的なシーズンを迎えることになるが、灯油販売は、天候、気温次第となるため予測が難しい。昨年の12月販売は323万KL、1月は327万KL、2月は329万KLと3ヵ月間は320万KL台となっている。下期通期では1504万KLで、前年比1・3%の微増となった。
 今年も増販を期待したいところであるが、電気、ガスヘの燃料転換が進み、販売減となる見通しが強い。しかし、燃料転換も一巡したことから、大幅な落ち込みはなく、寒波が襲来すれば、増販が見込まれる。吏日本大震災を機に暖房を灯油に切り替えるケースも出てきており、灯油ストーブのTVコマーシャルが流れるなど、灯油の需要回復を図った動きがでている。また、石油連盟、令石連も灯油のキャンペーンを展開している。昨年は震災直後であったため灯油ストーブが増販となり、灯油も増販が期待されたが、結局、微増にとどまり販売は伸び悩んだ。
 関東以西では灯油離れが進んでおり、新規の需要開拓は難航している。新築住宅は、電気、ガス使用となっており、マンションは灯油の使用を禁止しているため需要増が望めない厳しい状況にある。一方、寒冷地では安定供給の確保、価格問題など関心が高く、ユーザーを交えた灯油懇談会などが活発に開催されている。
 しかし、寒冷地ではSSが減少して灯油の供給に支障をきたす地区も増加しており、安定供給が問題となっている。過疎化の進行により、灯油の需要があっても配達する業者が
いなくなっている。経営難でSS、販売業者の撤退が増加しており、僻地への供給が難しくなり、自治体も対応策に苦慮している。年間で2000ヵ所のSSが減少しているなか、消防法の規制強化で、老朽化(40年以上)したSSには地下タンクの補強が義務付けられ、負担増からの廃業が増加するため、ますますSSが減少して、灯油の安定供給に支障が生じることになる。
 需要減と自由化を機に、過当競争のため採算が合わず、SSは減少の一途をたどっているが、安定供給には、安定した需要と適正マージンを確保できる体制が不可欠となる。こ
のまま放置すれば、灯油の供給難に陥ることは必至であるため、安定供給を確保するために、過疎化問題の解決に向けて本格的に取り組む時期にきている。

提供元:株式会社 石油タイムズ社
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