2012.12.28 のニュース
各社、灯油の供給に万全を期す ―商社などにも供給責任をー
灯油在庫は、石油連盟の週報(15日)では254万KLと前年に比べて約90万KLも低く、供給不足を懸念する見方もあるが、これは前年が高水準であった反動であり、石油業界で悠遠は輸入・増産で対応するため問題がないとしている。資源エネルギー庁では、各社に灯油の安定供給には万全を期すよう要請している。しかし、灯油供給には商社が
輸入で対応することもあり、需給調整では難しい面もある。
平時に灯油が不足して、供給面で混乱したケースはこれまでない。ただ、中越地震、東日本大震災において灯油、ガソリンの供給不足を経験したこともあり、消費者も灯油の安定供給には強い関心を持っている。
北海道、東北、北陸の寒冷地では、厳冬による天候不順で大雪となり、積雪で道路が寸断されてローリーが運行できず供給困難となるケースが予想されるため、ユーザーは余裕を持って在庫を確保することが重要である。このように過疎地での灯油配達には支障が出ているが、全体の供給量は確保されている。石油業界は安定供給に万全を期しているが、木村石油連盟会長が主張している「安定供給を求めるには、その前提として安定した需要が確保されるべきである」ことが求められる。
灯油需要は、電気、ガスの攻勢で大幅に落ち込んでおり、最盛期に比べると需要は約半分である。季節的には夏になると一般家庭用では使用量がゼロとなり、冬場のみ使用される。その結果、灯油の需要は夏場に対して冬場は3倍~4倍に増加するため、石油業界では扱いが難しい商品となっている。冬の需要期に備えて在庫を11月までに積み増し、この在庫を3月までには、一気に取り崩して完売することが理想的な商売となる。だが、天候次第で販売量が大きく変動するため不確実である。暖冬になれば販売は激減するため、市況も急落して大きな損失を被る。シーズン近くに在庫を持ち過ぎると、ますます赤字がかさむため、安値で売りに出すことで市況が急落し大損となる。このように暖冬で思惑が外れるケースもあるため、各社の需給取組みは慎重である。灯油の需給がガソリンなど他の油種の市況に大きく影響することになる。夏場の市況はガソリンがリードするが、冬場は灯油がリードしている。その結果、冬場になると「灯油高のガソリン安」の価格体系に移行する。足元の先物市況でみると灯油が76円/Lでガソリンは68円であり、灯油の方が8円高値となっている。原油が56円であり、灯油とのスプレッドは20円となっている。
現在は灯油高となっているが、灯油はシーズン終了間際になると一気に下落するため、今がピークとなる。
今年は厳冬となったため需給がタイトであり、灯油高は当分の間続くが、灯油商戦の勝負は2月までとみられ期間は短い。そのため大手の灯油専門業者、商社サイドの動きも注
目される。供給不足とみて輸入を計画するのは、元売のみでなく、商社というプレイヤーが介在するため、先行きの見通しが難しく、また、本当の意味での安定供給の責任は、商
社などの輸入業者も負うべきである。儲かれば輸入するが、儲けがたければと供給しないという、いいとこ取りだけの商売では、かえって需給調整を難しくする。