日刊ニュース

2013.01.28 のニュース

切望される卸の脱・不条理

石油業界において、売れ行き不振に対する耐性が最も弱いのは、実はSSではなく元売であった。2012年の元売は、生産装置のブレーキを踏むことよりも、卸価格対応を施した可能性が濃厚に見える。世界の原油市場において独歩安が出現している米国WTI原油。その原因として、競合エネルギーのシェールガスの影響とともに、内陸の原油集積地の原油在庫の多さがあげられていた。在庫の多寡は、個別の原油相場にも大きく影響することを象徴している。
 いずれも消費税込みの数字だが、総務省の81都市ガソリン小売価格調査による12年の全国最安値市(141・5円)と最高値市(158・2円)の値差が16・7円となり一段と広がった。11年が16・4円、10年が13・8円、9年は10・6円、08年は10・9円、07年は13・1円だった。
 価格差が最少だった9年は、現在の週仕切りの「透明・公正」を体現した元祖の卸体系が丸1年機能した年であった。その後、数度の修正が施されたことと、価格差が広がっていったことの因果関係が見えるようで仕方がない。
 53・8円のガソリン税を乗せて消費税を乗じたのがガソリン小売価格。委託販売を前提に正味価格に消費税を乗じた上で32・1円の軽油引取税を加算する軽油の小売価格。この2油種の小売価格差は、この方式では税金部分での約22・8円となるが、離島や過疎地との比較ではなく、主要都市間のガソリン小売価格差がそれに迫りつつあるのだ。
 高値都市のSS粗利が、安値都市よりも16・7円多ければ、それは小売市場の経営環境として我々が説明責任を負う。ところが、現在の卸価格体系に起因するとすれば、元売の責任として早急に手直しすべき必然が見えるだろう。この3年間で6・1円も価格差が広がり、最安値は常時、大市場とされる関東近郊だ。
 石商調査によるガソリン卸の系列-業転格差は常時5円を超える近況だ。さらに系列内格差は4円近くに達する。系列最高値と業転最安値の値差は、実に8円を超える。ローリー輸送距離がさほど変わらない同一地域においても、これほどの格差がある。同一商圏内において、量販PBの小売価格が、中小系列SSの仕入れ価格よりも割安な現象が起こり得る構造なのだ。元売が赤字にならず、こうした不条理を小売に出現させない改善が必要だ。

提供元:全国石油商業組合連合会
〒100-0014 東京都千代田区永田町2-17-14石油会館
TEL:03-3593-5751
FAX:03-5511-8870
ユーザーID:
パスワード:
ログインする
e-BISTRADE