2010.09.14 のニュース
ガソリンの小幅下落続くも -仕切下落の範囲内でマージンは確保-
ガソリン末端市況は小幅な値下がりが続いているが安定している。HCなど街道沿いSSでは120円/L割れも散見するが、一般市況は小幅な値下がりであり、仕切価格の値下がりの範囲内であるため、販売業者もマージンは確保している。猛暑によるガソリンの増販もあり、SS経営も安定しているようである。末端市況が安定しているのは、元売の減産で需給がバランスしており、業転玉の出回りが減少した結果である。
石油情報センターの週動向調査(6日)によるとガソリンは133円20銭/Lで前週の133円50銭に比べ30銭の値下がりとなったが、四捨五入での前週比では1円の値下がりとなった。8月中は134円の横ばいであったが、毎週小幅な値下がりが続き、9月入りで133円となったもの。5月24日の140円(139円60銭)から以降、値下がりが続いているもので、通算で7円の値下がりとなる。
統計上では15週連続での値下がりとなるが、原油価格も値下がりしているため、原油価格に見合ったものであり、販売業者はマージンを確保している。
原油価格はWTIの4月平均が85ドル/バーレル(中東が84ドル)であったものが、足元では74ドル(74ドル)と約10ドルの下落となっている。為替は4月が93円/ドルであったものが、最近は83円台で推移、急激な円高となっており、元売は原油安と円高のコスト安というメリットを享受している。原油価格の値下がりは在庫評価損が発生するため、決算上では4~
6月の利益を縮小することになるが、円高分とも相殺される。いずれにしても市況が安定して維持されているため、真水では上期は黒字が見込まれている。ようやく本業の石油事業で黒字となる。今までは石油開発、石油化学での利益、原油価格の高騰による在庫評価益で石油事業の赤字をカバーしていたが、中核の石油事業が黒字に転換してきた。これは各社の減産による需給調整が効果を発揮したことになる。
しかし、ここにきて円高不況による石油製品の販売減が心配されている。政府の早急な対策が求められているが、決め手となる策はなく、円高問題が指摘されてから後も解消されず、83円台で推移している。民主党の代表選で政治の空白期間が生じたためとの批判もあるが、このまま、円高で推移すると輸出産業の不振、企業の国内からの脱出による雇用不安などからの不況が心配されている。
不況により石油製品の販売数量が減少すると、再度、価格競争が展開される。景気回復の兆しから4~7月のガソリンなどの石油製品販売数量は前年比で増加しただけに、円高不況の到来は避けたいところである。
ガソリンの販売数量は猛暑が続いたこともあり、増販となっている。末端市況は連続して値下がりしているが、仕切価格の値下がりを反映した範囲内であり、販売業者もマージンは確保している。原油価格の値下がりと円高を反映して値下がりしたことになるが、業転市況も比較的堅調で、末端市況も値崩れせずに安定している。このように元売販売業者とも、マージンは確保され業績は改善されつつあり、このままで冬場を迎えたいところである。