日刊ニュース

2013.04.24 のニュース

原油急落で石油各社の業績悪化-需要減、マージン減が重なる-

 平成25年度に入ったが、原油価格が急落しているため、石油各社の業績は悪化しそうである。為替は円安で推移しているため原油安を相殺してきたが、コスト減となり仕切価格は20日から値下げとなった。さらに石油需要は減少が見込まれており、4月以降の業績は厳しい状況となりそうである。
 今後の原油価格、為替の見通しは難しいが、昨年と同様に原油価格が下落傾向にあり、仕切価格が値下がりとなると、末端市況の値下がりに拍車がかかりそうである。
 足元のドバイは97㌦~98㌦/バーレルで推移しているが、3月の平均が106㌦であったため、これに比べると約9㌦の急落となっている。為替は98円~99円/㌦で推移しており、100円突破も予想されそうである。
 ガソリンの仕切価格は20日から1円90銭~2円80銭/㍑の値下げとなった。これまでは原油価格の値下がりに対して、為替が円安で推移していたため、コストを押し上げることになり仕切価格は据え置きが続いていた。だが、ここにきて原油価格が急落したため先物、業転市況も値下がりとなり仕切価格は、本格的な値下げとなってきた。
 石油需要の見通しは、アベノミクス効果で回復が期待されるが、電力用C重油の増販が一巡したこともあり、マイナスが見込まれている。ガソリンは、販売価格が150円台に乗ったことでユーザーに節約志向が浸透して、今年1月~3月で3%程度の減少となっており、4月以降も、3%程度は減少するとみられる。軽油は復興需要を加味して微増を見込んでいるが、灯油、A重油はマイナスとなりそうである。燃料油全体でも3%程度の落ち込みとなりそうである。
 そのため各社は需要減を見込み、4月~6月の原油処理は減産で対応している。設備処理計両の期限は、来年3月末となっているため、各社の方針は、ほぼ出揃っており、予定通りに設備処理は進む。残り期間は少なくなっているが、今後、操業停止の設備も再稼働するため、一時的には、設備過剰の状況が続くことになり、需給バランスを保つためには適正な生産体制が望まれている。
 4月の業績見通しは、足元の原油価格が急落しているため在庫評価損が発生する。現在は、2月~3月の高値原油を処理していることになり、国内市況が下落しているため、マージンは大幅に減少している。
 原油価格の動きをみると、今年1月がドバイ平均で108㌦/バーレル(為替は90円/㌦)、2月が111㌦(94円)、3月が106㌦(96円)と100㌦台の高値で推移していたが、ここにきて97㌦程度へと急落してきた。
 一方、為替は98円~99円/㌦の円安が進行している。原油価格は下落したが、為替が円安となったため原油安を円安でコストを押し上げると相殺することになり、コストは横ばいで推移した。その結果、仕切価格は、3月以降は実質据え置きが続いていた。しかし、ここにきて原油価格が急落したため、円安によるコスト増を上回ることになり、仕切価格は値下げとなった。ガソリンの末端市況は、すでに先取りして値下げしており、これ以上値下げする余裕はないとみられているが、仕切価格の値下げが通告されると末端市況は下落傾向を強めそうである。

提供元:株式会社 石油タイムズ社
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