2013.05.23 のニュース
国家の製品備蓄4日分確保~SS過疎化対策は市町村で対応~
総合資源エネルギー調査会・総合部会(3回)は20日、経済産業省会議室で開催され、エネルギーの流通問題が審議された。石油、LPガスのサプライチェーンの維持・強化策についての説明の中で、安藤資源燃料部長が「石油需要がこの10年間で約20%減少したことに伴い、製油所は49ヵ所から26ヵ所に減少しており日本海側はゼロとなっている、SSもピーク時の6万SSから3万8000ヵ所に減少、昨今は毎年1000SS程度が減少しており、こうした状況が続くと、サプライチェーンが毀損し、災害時において供給支障が生じる」と、石油産業の現状を語った。東日本大震災では、東北、関東の9製油所のうち3ヵ所(仙台、鹿島、千葉)が被災したが、早期に復旧、供給確保に努めた。その経験から、緊急時に備えての石油製品備蓄の重要性が認識された。当面の対応策としては「災害時の石油製品の供給確保が重要であるとの教訓から、国家備蓄を石油製品で備蓄することにして4日分(現在は1日分を確保)を確保することになった」と説明。さらに、SSが減少する中で過疎地問題については「国よりも市町村等の対応となり、SS販売業者への助成策が講じられている」と述べた。
石油のサプライチェーンの強化については、東日本大震災以降、喫緊で最大の課題であると石油業界(石油連盟、全石連)では強化策を要望している。さらに、首都圏直下型地震、南海トラフ巨大地震には、太平洋側に集中した日本国内の供給休制のあり方が問題視されており、製油所、油槽所、SSの強靭化計画が推進されている。
しかし、国内の石油製品の需要減少から過剰設備処理、油槽所の廃棄、SSの減少が加速しており、サプライチェーンの維持が困難となっている。
深刻化するSSの過疎化問題については、現在、商業ベースの問題として扱われており地域主体の対応策の検討を自治体などで進めているが、今後は国の関与を求める動きも出てきそうである。
また、緊急時に対応するための国による石油製品備蓄は、備蓄法の改正によって進められており、現在では1日分を保有しているがこれを4日分に引き上げるため経済産業省が予算措置を講じており、石油各社に対し余剰タンクの借り上げを求めている。
LPガスの供給確保策については、安藤部長から「米エネルギー省が18日に、日本企業が参画するフリーポートLNGプロジェクトからのLNG輸出を承認した」と報告された。東日本大震災を機に、LNGの輸入が年間8700万トンと急増しており、価格高騰の影響も受けて貿易収支が赤字となるなど、喫緊の課題として安価な調達が求められていた。
米国からの輸出開始は2017年以降となっており、生産規模は880万トン/年、供給先は中部電力、大阪ガスが各220万トン。米国から安定供給によって、LNGの高値が是正される効果を期待されている。その他に、コーブポイント・プロジェクトは、住友商事が230万トン(車京ガス、関西電力に供給)、キャメロン・プロジェクトは三菱商事、三井物産が各400万トン(東京電力に供給)の調達を契約している。
次回の審議(第4回)は、6月下旬の開催が予定されており、消費問題(省エネ、コージェネなど)を中心に議論される。