2013.08.01 のニュース
成果多き盛夏に向かおう
汎用品を扱う小売の宿命だが、卸値上げを即座に小売価格にキャッチアップする難易度は極めて高い。通常は卸高の転嫁時期を後方へと送らせてしまう。卸高が連続する事態となれば、周回遅れが頻発する。そんな周回遅れがいま、全国の多くのSSに発生している。
ガソリン小売は、3週連続値上がりを記録した先週22日時点で、累計上げ幅は5・1円、消費税別では4・9円にとどまる。それまでの卸累計値上がり幅は、消費税別で3円、2円、2円の計7円だったから、全国の平均的なSSは2・1円の転嫁不足を抱えていたことになる。県別では石川、和歌山、愛媛、高知、長崎、沖縄などの転嫁不足は4円を超える。連続値上げ前に粗利10円だったSSは6円粗利に、5円粗利だったSSは1円粗利という事態が、全県平均規模で起こっているのだ。
さらにその週末には、連続値上げ4週目となる0・5~1・5円の仕切り値上げが実施されたから、この1週間、小売価格を修正していないSSがあるとすれば、値上げ前にあった5円粗利はゼロとなってしまう計算だ。地域最安値の廉売で、首都圏を含む関東地区のプライスリーダーとなっているホームセンター系SSでさえ、5月連休以降、累計で10~12円の値上げを断行した。5月連休明け以降、7月第1週までの8週間、一般SSのガソリン小売は、累計で0・9円下げ、週平均では0・2円に満たないじり下げを繰り返した形跡が残っており、この間に多くのSSが、卸の値下がりがなかったにもかかわらず、小売下げに踏み切って粗利を削った。
卸の連続値上げで、元売の精製粗利は劇的に良化した。4-6月のガソリン粗利は悲惨な数字が並んでいるが、卸3円値上げが発せられた7月12日以降は改善の一途をたどり、好調な内需もあって、近況は昨年9月下旬以来の豊年満作を謳歌している。しかも、一方的な値上げ断行ではなく、ガソリン在庫が大幅減を記録するなど、絶妙な需給調整が功を奏した状況が見える。
中東産原油は高値持続となっているが、今週末の原油コストは大幅円高によって、久しぶりに前週比値下がりが見通されている。ただし値下がりアナウンスがあっても、それはごく小幅にとどまろう。SSは転嫁不足に追い付き、耐久力のある値決めをすることで、この盛夏に経営を修復したい。