2013.10.22 のニュース
134円ガソリン+当分税=160円
08年5~10月にかけて、ガソリン小売価格の全国平均は8月の185円をピークに丸半年、6ヵ月連続で160円を超えた。この高価格の直前には、与野党攻防の結果、ガソリンは㍑25・1円(消費税込み26・355円)、軽油は17・1円の暫定税率が3月末期限切れ、5月復活というドタバタ劇を演じた。国内政治・税制と投機・原油高で、ガソリン価格は異常な乱高下を示し、その後、リーマンショックによる原油暴落の渦中に、今日の元売仕切りの元祖となった週・仕切りが導入された。
こうして迎えた当時の自民党・麻生内閣のもとで行われた09年8月の衆議院選挙。最大野党だった民主党は、政権公約の目玉として、ガソリン税(53・8円)のうちの暫定税率の廃止を掲げ大躍進した。しかし、政権与党となった民主党は、財源不足から暫定税率廃止を見送り、その代わりに燃料価格の高騰対策として、10年に「所得税法等の一部を改正する法律」を成立させ、いわゆる「トリガー条項」を盛り込んだ。「トリガー条項」とは、総務省の小売物価統計調査で、ガソリン平均価格が3ヵ月連続で160円を超えた場合、ガソリン税の暫定税率分25・1円の課税を停止するというものだ。
さらに、11年4月、民主党はこの「トリガー条項」について、東日本大震災の復旧・復興の状況を勘案し、「別に法律で定める日までの間、適用を停止する」こととし、その停止を決定した。その結果、ガソリン税は今日、28・7円の「本則税率」と、25・1円の「暫定税率」改め「当分の間税率」という奇妙な名称で今日に至っている。
総務省によるガソリン小売価格の近況は、8月160・5円、9月161・7円と2ヵ月連続で、「トリガー」を引くレベルを超えた。その近況は159・6円とわずかに下回ったが、10月3週分が3・4~4・0円とアナウンスされた大幅な元売仕切り値上げにより、この10月も「トリガー」超えが確実視される。
消費税込み、タックス・オン・タックス状態の160円ガソリン小売価格は、仮に政権公約が実施されていたなら今日、26・35円低廉な133・65円となっている。トリガー条項が有効なら、11月からこの値段になる。160円の負担を強いられている過疎地の生活者が、「当分の間税率」という奇妙な税名称を冠されたガソリンが、泣いている。