日刊ニュース

2014.07.01 のニュース

新体系の浸透を見込む-原油連動でユーザー説明は容易に-

 原油コスト連動方式の新体系が実施となったが、定着するか否かの正念場にある。ガソリンの仕切価格が2週連続で2円50銭の値上げとなったことで、販売業者はユーザー転嫁に取り組むことになり、浸透しそうである。
 元売サイドも、3月期決算では実質赤字(在庫評価益を除き)となっており、挽回を期して黒字を狙う。そのために市場(業転市況)連動方式を改めて原油コスト連動に変更したものである。最低でも原油代を回収することで赤字を解消し、さらに黒字とすることが狙いとなる。
 新体系は、①直近の原油価格を仕切価格に反映させるため変動幅は明確でありハッキリする、②原油価格の変動(上昇)はマスコミでも伝えられるためユーザーの理解を得るのは容易である、などの利点が評価されている。
 その反面、原油コスト連動で仕切価格は先行して値上がりするが、業転が追随して値上がりしないと、再度、業転との価格差問題が生じる。価格差が拡大した場合には、事後調整を求める声が販売業者から出る。
 以前は前月積み原油価格をペースに月毎に仕切価格を決めて、1日から改定となっていた。そのため原油コスト方式は経験済みである。月決めであったため、月末になると翌月のコスト(仕切価格)の改定幅が予想され、値上げが予想されると仮需が発生するなど元売が不利となるため廃止となった。
 これに代わって市場(業転)連動に2008年から移付した。スタート時は、仕切価格をTOCOMの先物、業転を指標に連動させて、数量格差も1~2円/リットルの価格差に圧縮し、事後調整も廃止となった。その結果、大手、中小業者の販売業者間の価格差が縮小したため、販売業界では歓迎して受け入れた。しかし、先物は、大幅な価格変動が生じ、指標として活用が難しくなった。そのため業転連動としたが、原油の急落時と重なり、元売は赤字となった。そこで、赤字解消策としてブランド
料として4~5円を加算した。このブランド料によって元売は黒字に転換したが、業転と仕切価格との価格差が拡大することになり販売業界からは反発が出ることとなった。「ブランド料の引き下げか、業転玉の購入を自由にすべき」との要請が出て業転問題に発展、元売と全石連との対立が続き、今日におよんでいる。
 ブランド料の引き下げ、業転ルートの解明を求めた流通証明の添付などが実施となったが、全石連では自民党・流通議連を介しての議員立法による公正な取引を求める運動が、現在も継続している。
 これまで価格の設定方式はいろいろと変遷したが、石油の自由化、原油価格の乱高下が激しい時期など、それぞれの時代背景を基に打ち出されてきた。いろいろと模索したが、新体系は直近の原油価格の変動を即、仕切価格に反映するものであり、先物市場で変動幅が公開されていることから、透明性が保たれている。
 3月期決算時のように円安による原油価格(コスト)の上昇局面に対して転嫁が遅れる傾向があったが、そのマイナス分を元売がかぶることで赤字となったため、市場連動方式ではコスト増に対応できないとみて、新体系の原油価格連動方式に移行したことになる。

提供元:株式会社 石油タイムズ社
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