日刊ニュース

2014.07.09 のニュース

元売、減産対応で業績回復の兆し 第二次設備処理、事業再編の計画提出へ

 石油各社の業績に回復の兆しがみえてきた。足元は不需要期であるため販売は低調であるが、製油所の定期修理の時期であり、減産となっているため需給は締まっている。加えて高度化法による設備処理が3月末で完了したこともあり低在庫で推移、需給環境が整備されている。
 さらに6月から新体系が実施となり、仕切価格は値上げが実施され、業転も値上がりしているため石油製品マージンも増加してきた。目安となる東商取の先物市況は原油が69円/リットルであるが、ガソリンは86円となり、スプレッド(価格差)は17円と拡大している。スプレッドが即マージン増となるとは限らないが、昨年末が10~12円であったのに比べるとマージンは確保されていることになる。足元の原油CIF価格は70円(5月)となっており値上がりしているが、ガソリンなどの製品価格も値上がりしている。
 第一次高度化法による設備処理が3月末で完了、引き続き第二次の告示(案)が決まり、40万バーレル/日の削減が決まったことで、実施計画を立案することとなった。加えて産業競争力強化法による調査で「過剰供給構造にある」との結果から、事業再編指針の計画を、高度化法の実施計画と同時に10月までに提出することになった。
 現在のトッパー能力は3月末で395万バーレル/日になり、前年に比べると約50万バーレル/日が削減となった。足元の原油処理は約340~350万バーレル/日とすると、需給ギャップは約60万バーレル/日となり、稼働率は90%となる。しかし、国内需要は、今後も減少するため、引き続き第二次の告示(案)が決まり、3年後に向けて約40万バーレル/日のトッパー処理が実施されることになる。第二次では第一次での対応と違い本格的な設備処理が求められるため、過当競争よりも利益確保というプレッシャーがかっている。
 第一次では、分子の分解装置はRFCC、コーカー、H‐oilと限定していたが、二次ではFCC、直接脱硫装置など対象が拡大された。だが、これらの装置を増強、新設することは困難とみられている。結局は分母のトッパーの削減で対応することになる。トッパー能力を40万バーレル/日(10%)の削減となると製油所を3ヵ所分を廃棄することになる。設備廃棄が難しい場合は公称能力の削減(減産対応)となるが厳しい選択となる。今回の第二次は、スピード感を持って対応することが求められている。
 産業競争力強化法による事業再編計画の提示も10月までに求められている。精製業についての調査結果では、売上高が約25兆円(13年度決算)と巨額であるが営業利益は1491億円、売上高営利益率は0・7%と低いことが強調されている。強化法では、営業利益率の低さを指摘しているが、売上高の中には石油諸税が約5兆円か含まれているのと、石油製品のコストの90%が原油コストという特殊性があるとの見方もある。また、強化法の事業再編(連携)となると企業間との交渉もある。資本・地理的な壁を超えた事業再編を促すことになるが、一方では、個々の企業が自らの判断で実施するものであると断わっている。国が環境整備を行なうとしており、支援のための予算を確保することになる。

提供元:株式会社 石油タイムズ社
〒112-0004 東京都文京区後楽2丁目22-3
TEL:03-3814-4728
FAX:03-3814-4745
ユーザーID:
パスワード:
ログインする
e-BISTRADE