2010.06.29 のニュース
時評 業者 参議院選など政治活動で苦慮 -地方と国政で対応に違いも-
参議院選挙が告示され7月11日の投票日に向けて選挙戦が展開される。定数121名に対して438名が立候補している。昨年9月に民主党政権が発足して以来初めての選挙であり、この参議院戦で民主党が勝つのか、自民党が勝つのか、その結果によって政治運営が大きく変わる。政権交代するまでの石油業界(元売、販売業界)、産業界は、一貫して自民党を支持してきただけに、政権交代では戸惑いを見せた。だが、時間が経過したこともあり、慣れてきたが、政策決定のプロセスが分からない、誰が決めるのか不透明であるとの不満は残っている。
とくに販売業界(全石連)は、政治団体の油政連を組織して政治活動を実施してきたが、支援してきた自民党が野党に転落したため、政治活動の目標を失うことになり、対応に苦慮している。基本的には、政権与党を支援することになっているが、地方では温度差もあって運営は難しい状況にある。
地方の市町村議会は自民党が与党であるケースも多く、以前からの関係もあり、自民党支持も残っている。国政と地方議会とでは立場の違ぃもあって、是々非々で対応している。このような状況下にあって、参議院選挙への対応も地域によってバラツキが生じている。
全石連の横浜総会も増子経産副大臣が来賓として出席してあいさつをしたが、以前のように懇談会に多数の自民党議員が出席してあいさつすることはなく、政権交代をハッキリと印象付けたものとなった。このような動きは、地方でも同じであり、政治活動のあり方も大きく変化している。
また、民主党政権に移行して、予算の無駄使いを洗い出すとして、販売業界への支援策がカットされている。昨年11月の事業仕分け第一弾ではSSタンクの入れ替えに対する補助が廃止となった。さらに、信用保証制の基金が国庫へ返還された。ついで5月の公益法人の事業仕分けで、災害対応型SSの捕助、高効率経営事業の補助が廃止、エネ研が実施している石油製品市況調査の廃止も決まった。
このように石油販売業者に対する風当たりが強くなっており、民主党に対する不満も残っている。さりとて自民党に支援を求めても、野党であるため政策を推進することは出来ず対応に苦慮している。ガソリン需要は減少、SS数はますます減少することになり、過疎地問題が提起されている。さらに、消防法の改正で古いSSの地下タンクを入れ替え、補修が求められることになり、コストの負担が問題となってきた。コストが負担できないと廃業に追い込まれることになり、補助策を求めているが、予算措置が認められることになるのか、販売業界としては正念場を迎える。ここで補助が認められないと、一気にSSが減少する。
また、エネルギー基本計画が決まり、石油販売業は「石油のサプライチェーンの最前線としての役割を担うため、品質、価格等に関する公平・透明な競争環境を整備する。過疎地や離島における課題の解決、EVの普及を見据えた新しいピジネスモデルの構築を通じたSSの経営基盤の強化に対する支援を行なう」としているが、今後の予算要求でどこまで織り込まれるのか注目される。