日刊ニュース

2014.09.29 のニュース

海外旅行者という成長領域

 2020年の東京五輪。国内人口は、近況比300万人減少して1億2400万人と推計される。これからの7年間で、ほぼ茨城県や広島県が丸ごとなくなる減少数だ。一方のガソリン内需は、今後の年2%減をいうトレンドをたどると、これからの7年間で、コスモ石油よりも多い625万㌔㍑の減少を記録して、五輪開催年には4860万㌔㍑となる見通しだ。
 SS経営の基盤である地域生活者と地域内燃料油需要の見通しは、総じて厳しい数字となるが、光明となりそうな話を後藤石油協会理事(日本経済新聞社)から聞いた。訪日外国人旅行者の増加である。
 03年度に500万人台であった訪日外国人旅行者数は、13年度に1036万人となり、この10年間でほぼ倍増した。国土交通省観光庁による訪日旅行促進事業「ビジット・ジャパン・キャンペーン」と円安が牽引したものというが、政府は20年の東京五輪までに、さらに倍増の2千万人の外国人旅行者を迎える目標を立てている。これは荒唐無稽な数字ではない。世界一の観光立国フランスには、人口を大きく上回る8300万人の外国旅行者が訪れ、香港にも2300万人が訪れている。
 国内人口が減少していく中で、外国人観光客の誘致を目指す「インバウンドツーリズム」政策は、景気へのプラス効果や地方経済の活性化にもつながる手段として期待されている。世界遺産・富士を擁する山梨の前年比3・3倍を筆頭に、沖縄2・4倍、徳島2倍、和歌山1・8倍など、外国人旅行者は過疎地でも大きな経済的インパクトを与え始めている。後藤理事によれば、国内人口1人の消費行動は、海外からの旅行者6・7人に相当するというから、訪日外国人2千万人の消費行動は、300万人の国内人口に相当するものと算定できる。ちょうど、これからの人口減少を補う数字だ。
 自然や景観の観光資源とともに、海外からの旅行者のニーズに応える案内手法や接客など和のおもてなしなど、ソフト面における観光地間、自治体間で、この数字の争奪戦が始まる。旅行者が「動く」過程において、SSは燃料供給とともに、旅行者が立ち寄る頻度の高い拠点となろう。高齢化という国内事情も旅行者増大という方向に重なる。SSがより地域と密着することを指向すれば、こうした潮流を事業領域に取り込むことが可能になってくる。

提供元:全国石油商業組合連合会
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