日刊ニュース

2014.12.02 のニュース

元売業績の明暗が意味するもの

その痕跡は4-6月期においても見えていた。それが7-9月においても継続していたようだ。その痕跡とは、この7月に総合エネ調報告で石油業界に求められた「公正・透明な市場形成」に反すること、「産業全体として収益性を維持・向上させていくこと」に反することである。
 企業間競争を否定するものではないが、過度のそれは御免被りたい。なぜなら、市場が縮小の一途をたどる際に、その方向性を踏まえて業界全体がそのマイナスを受容したほうが、ロスは少なくなることは自明の理であるからだ。その際の経営の軸足は、量よりも質に重きを置くことに尽きる。元売は全精力を注いで、その軸足をバックアップすることが最大の系列支援となる。
 ダブル増税以降、ガソリン内需の市場規模は、それ以前よりも明らかに一回り小さくなった。石連週報による4月以降の34週平均出荷量は前年比6・4%減で、この水準が続いた場合の今年度内需は5200万㌔㍑を割り込んで、1995年度以来の低位に沈む。増税と円安による高値の出現、さらには天候不順に見舞われるという悪条件が重なった、という側面は強いが、この間にも、はるか遠方に本拠を有するPBが、平穏だった商圏内に突然登場し、大ダメージを被った仲間が出た。質を保持しながら数量面のマイナスを市場全体で薄く享受する、という大勢の防御方法に対して、唯我独尊的に逆張りに出るSSが出現、結果として、全員が質も量も損なってしまう地域が全国を覆った。
 内需不振が顕在化する中で、東京では並行的に、エネ庁と公取委の同席のもとで、幾度も全石連執行部と元売幹部との会合が持たれた。中でも、地域でプライスリーダー格に位置付けられる廉売量販PBSSと子会社SSについては、全石連側が根気強く問題点を提示し、その善処を求めた。ところが現実の市場では、かなりきわどい戦術が幅を利かせていた痕跡が残る。
 自重した元売と突っ走った元売。売り負けた元売と売り勝った元売、という表現もできる。結果として、9月末元売業績の明暗が大きく分かれた。この歪な実態が、一段と廉売PBを太らせ、地域の生業SSを疲弊させていたとしたら、行政が仲介しても、国内SS業界は自浄作用を発揮できないことにになる。石油業界が自浄能力を有する業界であることを年末商戦で発揮したい。

提供元:全国石油商業組合連合会
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