日刊ニュース

2014.12.15 のニュース

原油急落で、その後の反動が心配  石油製品の需要回復は期待できる

原油価格は続落しており、60ドル相場となり、6月の110ドルからみると約半額となった。ガソリン価格は石油情報センター調査で7月には170円/リットルであったものが155円(8日)となり、21週連続の値下がりで通算で15円の値下がりとなったが、仕切価格が11日から3円の値下がりとなっているため、次週も値下がりとなる。街道沿いの実勢は140円相場となっている。
今後見通しを難しくしているが、値下がり材料としては、一般的には①OPECの減産見送りで供給増が続く、②アメリカの在庫が増加した、③中国、欧州の経済成長が鈍化している、④地政学的リスクが緩和した、などの点が重なったことがあげられている。
今後の値上がり材料としては①需要期に入るため需要が増加して需給がタイトになる、②地政学リスクが再燃する、③市場が下げ過ぎとみて反発する、などの点があげられるが、結果論であり、相場は相場に聞くしか方策はない。相場は、いろいろな要因が重なって形成されるため、予想が当たらないのが相場である。
過去には、急落した例としては08年の7月には145ドルまで一気に急騰したが、その後の9月にリーマンショックとなり、急落して年末には30ドルとなり100ドル以上の値下がりとなった。この乱高下で世界経済が大混乱したため、原油の先物市場のあり方が問題となり、規制強化の意見も出て、一部の手直しが行なわれた。
それより前の89年には、供給増による逆オイルショックで10ドル割れとなった。89年度の原油CIF価格の平均は約1万円/キロリットル(13ドル)となった。この逆オイルショックで、メジャーの経営難となり、統合が行なわれスーパーメジャーが出現したことになり、今回の急落も、産油国への影響も大きいが、石油開発業界にも影響がでそうである。
今年の原油CIF価格は7~8月は7万1000円キロリットル台で推移していたが、10月は5万8000円になた。さらに値下がりが見込まれるが、当時の7倍となったが、今後どこまで下落するかは予想ができない。
原油価格の推移をみると70年台(昭和45年)は1ドルであり、「原油1ドル説」が主流であったが、その後、産油国の力が台頭、国有化、OPECの結成、2度のオイルショックを経て、30ドル相場となり、08年の7月までは急騰したが、その後は急落し、08年度のCIF平均では90J(5万8000円/キロリットル)となった。急落後は反発して、89ドル台になり、11~13年の7月までは100ドル台が続いたが、その後が急落したもので、足元は70ドルを割って60ドル、さらに60ドル割れとなりそうである。
このように急落しているが、どこまで値下がりするかは、見通しが難しいが、急落すれば底値からは反発して急騰するのが通例である。低価格が続けば、新規の原油開発が見送られ、急増しているシェールガス・オイルが採算割れとなり開発が停止する、コスト高の深海の開発も遅れることになり、需給がタイトになるため、再度、値上がりするが、世界経済は混乱による代償が大きい。
原油の急落のメリットは、ガソリンなど石油製品が値下がりして需要が回復することが期待できる。さらに緒物価の値下がり、LNG、C重油の値下がりで電力料金の値下がりにも通じる。

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