日刊ニュース

2015.01.06 のニュース

石油業界は、厳しい年明け 原油急落で在庫評価損~下落した市況の再構築を~

2015年の新年を迎えたが、石油業界を取り巻く環境は厳しい。需要減少は今後も続くことになり、加えて原油価格の急落で石油各社の業績に大きな影響を与える。巨額な在庫評価損が発生することになるため、決算では赤字となる。さらに連結決算では、上期までは原油高で好調であった石油開事業が原油急落で減益となる、などダブルパンチを受ける。以前はコアの石油事業が低調で、これに代わって石油開発、石油化学事業が黒字でカバーしていたが、共に不振となってきた。業績回復には原油価格の上昇を期待することになるが、その見通しは不透明である。プラス材料では、原油の急落でガソリンなどの石油製品が値下がり、需要が回復の兆しが見えてきたことである。しかし、需要が増加したとしても、前年が大幅に落込んだ反動によるものであり、微増が見込まれる。そのためには年明けの市況対策が重要となる。連続して値下げしてきた市況の再構築が求められる。12月販売はガソリンが横ばい、灯油は増加となったようである。
 石原油価格の急落による石油各社の業績悪化が深刻である。その要因は在庫評価によるであり、防御策はなく、当面は原油の値上がりを期待することになる。
 本来は原油が値下がり、コスト安となり、石油製品も値下がりして需要が増加、値取りができれば、マージンが確保されるため利益増となる。在庫影響を除いた利益を確保することになり、元売の製品マージンは確保されている。
 だが、販売業者サイドでは仕切価格が値下がりすると、それ以上に末端市況が下落することになり、利益を吐き出すことになることが心配されている。
 元売サイドは、巨額な在庫評価格損を抱えることになり、自力では、どうすることもできない状況となっている。原油価格の値上がりを待つ、受身の対応となるが、いずれは値上がりするものとみられるが、その時期が分からない。いろいろな見通しが出ているが、相場に委ねることになる。
 いずれにしても元売、販売業者はマージン確保に取り込むことになる。
 過去には、原油の急落面は、1986年、98年、04年、と今回の14年の4回あったが、いずれも需給バランスが崩れ、供給増が要因となり、最終的には、OPECが減産して対応、新興国の需要増もあり反転した。今回は、OPECPの減産とシェールオイルの減産がポイントとなりそうであり、石油業界は、様子を見守ることになる。
 86年は石油ショック後の原油高で需要が減少、供給増となり、OPEC内のシェア争いからサウジがネットバック方式を採用したため10ドル割れとなった。98年はアジアも経済危機で需要が減少、OPEC内での生産枠を超える生産で供給過剰となり10ドル割れとなった、04年は、先物市場で急騰し7月にはWTIが145ドルまで急騰、その後、9月のリーマンショックで世界の需要が減少、12月には40ドルまで急落した。その間100ドルの下落となった。ガソリン価格(石油情報センター調査)は185円から100円下落した。今回は14年7月の原油価格は110ドルであったが、12月に50ドル台に下落と半値となった。ガソリン価格は170円から12月には149円となり、安値は130台となっている。

提供元:株式会社 石油タイムズ社
〒112-0004 東京都文京区後楽2丁目22-3
TEL:03-3814-4728
FAX:03-3814-4745
ユーザーID:
パスワード:
ログインする
e-BISTRADE