2015.02.06 のニュース
原油急落で在庫評価損による赤字決算 通期見通しも評価損が拡大の方向
石油各社の4~12月期の決算が発表となるが、原油価格の急落で在庫評価損が発生したため赤字計上となる。さらに、通期見通しとなると今年1~3月の原油の見通しがポイントとなるが、原油安(50ドル/バーレル)が続くとみると在庫評価損が拡大することになる。
石油各社の決算は、原油価格の変動で大きく影響するため予想が難しくなる。26年度の原油価格の急落は誰も予想ができず、自社の努力ではカバーできないところで決まるため打つ手がないのが実情である。原油価格の急動は08年にも経験しているが、自然体で対応するしか方策がない。原油価格も値上がりの方向となってきたようであるが、いつの時期にコストを回収してマージンを確保するかが重要となる。
原油価格(ドバイ)は昨年4月では100ドル/バーレル台で推移したが6月中旬にかけて110ドルの高値をつけたが、その後は中国、欧州の景気不振、リビアなどの原油生産増から供給増となり毎月10ドル程度が下落した。さらに11月27日のOPEC総会で減産見送りが決まったことから一段と下落して12月には50ドル台へと急落した。
減産の見送りは、増産しているシェールオイルのコスト割れから減産に追い込むための方策とみられ、産油国との我慢比べの様相となり、まだ続いている。
その結果、今年1月には入り、さらに下落して40ドル台となり、一時は40ドル割れとの予想も出たが、ようやくここにきて、シェールオイルの減産が伝えられることになり、足元は50ドル台に反発してきているが、見通し難は続く。
4~12月の動向をみると原油価格は平均では94ドルとなり、前年の104.6ドルの比べと10.6ドルの値下がりとなった。為替は108円/ドルで前年は100円/ドルであったため8円の円安となった。
販売数量は消費税の増税による高値感による節約、台風、豪雨の影響で減販と、販売単価が下落したため売上高は減少となった。とくに10月以降は原油価格が急落したため、事業環境が大きく変化、在庫評価損が発生したため赤字となったもの。
出光興産の4~12月決算でみても営業損失は407億円となったが、うち在庫評価損が697億円となり、在庫影響を除くと289億円の利益となる。前年は営業利益が818億円であったため1226億円の減益、在庫影響除きでは496億円の利益であったため207億円の減益となった。
セグメント別でみると石油製品は営業喪失は495億円(前年は322億円の黒字)であり、前年比では816億円の大幅減益となった。うち、在庫評価損が702億円となっており、この在庫影響を除く207億円(10億円)の黒字となり、前年に比べると196億円の増となり、石油製品マージンは拡大したことになる。だが決算上は赤字となった。
その他、石油化学は、市況の下落、ナフサ価格の上昇となりマージン減少で赤字となったが、石油開発は原油価格の下落が影響したが157億円の利益、石炭が13億円の利益となり、石油製品、石油化学の赤字を相殺した。
しかし、通期見通しとなると原油価格は2~3月を50ドルを想定すると、在庫評価損が1370億円に拡大するため営業損失は1200億円となり、在庫影響を除く170億円の黒字を見込んでいる。
そのうち、石油製品は1270億円の営業損失となるが、在庫評価損が1370億円か見込まれたため在庫影響を除くと100億円の利益(前年は520億円の利益)を見込んでいるが、前年比では420億円の減益となる。