2015.03.01 のニュース
再発症かつ重症「系列独歩高」
29週連続値下がりの後、2週連続で大幅高となった国内ガソリン小売市況。その上下動の基点となる原油相場が1月第3週を底値に反転、先週まで5週連続の値上がりを記録、5週累計で㍑11円高と大幅高を記録している。今週は6週ぶりに小幅安となりそうな一服状況だから、SS経営者はここで一旦落ち着いて、ここ最近の自らの採算性を再確認したい。採算性が毀損された場合は、そのリセットとともに、その病巣を取り除くことが必要になる。ところが、その病巣が自助努力の外側に鎮座しているのが、偽らざるSS経営者の実感だ。
連続値下がりの過程を振り返ってみると、中東産原油指標の週平均コストは、昨年6月第4週と7月第1週の71・3円からほぼ一貫して29週連続の値下がりを示し、累計で38・6円の値下がりを記録した。
ガソリン卸は、有力な系列仕切り指標ケースは142・3円から108・3円へ34円の値下がりにとどまっている。一方の陸上出荷業転は142・4円から101円へ41・4円もの値下がりを示し、ここまでで系列SSは業転依存SSと比較して7・4円もの重荷を背負わせられたことになる。原油の長期暴落、反騰の局面で、「業転との格差が拡大した」という大勢の系列SSの肌感覚は間違いなく事実といえる。原油コスト連動という仕切り改定の透明性を担保する基本が崩れ、系列と業転との格差縮小という政治的・社会的な要請が反故にされた形跡がくっきりと残る。
ところが10-12月を期間としたエネ庁の元売ヒアリング結果は、12月時点の「一般系列特約店と非系列取引(固定取引)との平均実仕切価格差」の分析では、9月比でわずか0・4円の格差しか認知されていない。この肌感覚の差異について、「エネ庁あるいは元売が定義する”一般特約店”というのは、地方の中小特約店とは異なるのだろう」という解釈を生み、系列仕切りに対する疑心暗鬼が一段と深まる遠因にもなっている。
透明かつ公正という卸体系は、石油業界に求められる規範である。聞きっぱなしではいけない。元売は格差を縮小させる行動を起こすべきだし、行政はその進捗状況を厳しい視線でウオッチするべきだろう。健全な石油流通網の基盤を破壊する毒素を撒き散らす系列独歩高という病を再発させない行動が必要だ。