2015.03.20 のニュース
WTI 在庫増で先行して値下がり 連動して原油の再下落が心配に
原油価格は下落してきた。WTIは17日には43・88ドル/バーレルとなったが、さらに下落して42ドルとなり、1月の底値であった44ドルを下回った。ブレントは53ドル、ドバイは51ドルとなっており、WTIとブレントとの価格差は10ドル以上となっているが、下げ基調となってきた。
WTIが先行して値下がりしているが、アメリカ国内の原油在庫が増加による供給増が反映しているものである。WTIは、アメリカの国産原油であり、国内の石油需給、景気動向が反映する値動きをみせる。アメリカは原油の輸出を禁止しているため、流動性を欠き、国内の事情を色濃く反映した値動きをみせるケースも多い。今回は、在庫増が反映したことになるが、国産原油、シェールオイルの生産が維持されており、在庫増となってきた。シェールオイルは、コストが50ドルであるため、採算面から生産が停止されているケースもあるが、投資資金を回収するため生産が維持されている。原油の開発作業は遅れ、リグの稼動は減少しているが、生産を停止するまでには至っていないようである。
原油価格は昨年秋以降、供給増を背景に下落していたが、11月27日のOPEC総会で減産が合意され、原油市況が安定から値上がりするとの見方もあった。だが、減産見送りとなり、その後は一段と下落して12月には50ドル台、1月には40ドル台の安値となった。サウジが減産を否定したため、下落傾向を強め20~30ドル説も出たが、2月には反発して50ドル台(ブレントは60ドル台)に戻した。しかし、ここにきて再下落となってきたため二番底との見方も出てきた。
WTIが先行して下落、これにブレント、ドバイが連動して推移している。価格が10ドル以上の価格薔が生じているが、WTIが独歩安とはならず連動して値下がりとなりそうである。
WTIはアメリカ国内の需給、経済動向が反映するが、ブレント、ドバイは、中東、アフリカなど地政学的リスク、欧州の経済、中国、インドの経済成長などを背景に世界の情勢を背景に値動きするため、原油価格の指標となっている。
そのため国内の元売はドバイ、石油開発会社はブレントを指標として採用している。日本に輸入されている原油の85%は中東産原油であるため、元売はドバイを指標としている。原油の値決めもドバイスポットの変動を基本に、油種間での調整金を設定して決定している。
元売の仕切価格の改定はドバイの変動を基調にしている。原油価格が値下がりすると在庫評価損が発生する。下落局面となるとコストの減少より値下げして、結局、赤字となるケースが多い。値上がりとなると、在庫評価益が発生するが、コスト増を転嫁するため、仕切価格の値上げを実施するが、未転嫁となり、赤字となる。
今回は原油価格の急落により巨額な在庫評価損で大赤字となった。値上がりするとコスト増が転嫁できずに赤字となり、どちらに振れても対応が難しく、結局は赤字となるため、原油価格の安定が望まれている。
石油開発会社は、ブレント(北海)を指標としている。生産している国、油田ごとに契約が違うため、販売価格も異なるが、指標としてはブレントとなっている。原油価格が値上がりすれば、即増収、増益となり、逆に下落すれば減益となるため明解である。
今回のように原油価格が急落したため、減益となるが、今までのような100ドル台が続いたのが好運と見るべきである。