日刊ニュース

2015.03.23 のニュース

適正マージンの確保を急げ

2014年度も残り10日余りとなった。振り返ると、原油価格の高止まりによる卸価格の上昇と、その後の原油価格の急落による卸価格変動に振り回された1年だった。昨年6月にはイラク情勢の急速な悪化による地政学的リスクの高まりを背景に、一時バレル115㌦前後まで上昇していた欧米の原油先物価格は、欧州、中国などでの景気低迷による需要低迷や在庫水準の積み上がりで需給が緩み、9月には100㌦台に、その後も月10㌦前後下がり続け、年明け1月には50㌦を割り込んだ。
 一方、SSの需要動向をみると、昨夏までの原油高・卸価格高によるガソリン小売価格上昇によって、最近の需要減の流れに拍車がかかり、消費者の買い控え・節約指向の高まりで一気に需要が消失するなど石油販売業者の経営を直撃した。急激な需要減は量販店や元売販売子会社を巻き込んだ採算度外視の拡販を招き、全国各地で不当廉売が疑われるような安値がまん延し、コスト転嫁が一向に進まない最悪の市場環境へと転落した。
 そして、昨夏以降、原油価格の急落が表面化してくると、ガソリンの陸上現物市況は安値安値へと先安観を強め、この現物卸の安値に反応した一部のPB業者が先行値下げを繰り広げ、さらに元売販社が追随することで値下げ競争が拡大。周辺の系列中小零細業者は原油急騰時のコスト転嫁もままならないまま、値下げ競争に巻き込まれる状況となっている。
 原油価格も年明け後は、それまでの下値を目指す状態から脱し、徐々に上値を探る状態となっており、元売各社も相次いで仕切り値上げを活発化させている。一部元売の週決め仕切価格体系は、陸上現物市況との間に大幅な価格かい離がみられ、実質的に建値化しているとの声が特約店筋で強まっている。不透明な仕切価格体系による混乱が広がっているが、これまでの累計仕切り値上げに対し転嫁不足は歴然としており、コスト転嫁は待ったなしだ。
 原油価格急落による仕切り安で、ガソリンの小売価格にも割安感が高まったが、残念ながらガソリン需要の増加にはつながっていない。3月入り後も低調を訴える声が全国各地で絶えない。油外収益の拡大も簡単な話ではない。需要回復が望めない以上、年度末を控え収支を整えるには、適正マージンを確保する以外即効性のある手立てはない。

提供元:全国石油商業組合連合会
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