2015.04.10 のニュース
新年度入り、コアの石油事業を重視 石油開発、石化に代わって利益確保
石油各社は、4月の新年度入りとなり、心機一転した体制で臨むことになった。4月を機に組織改正、人事異動(役員は改選は6月末)を行なっており、3月期決算は巨額な在庫評価損が発生したため赤字となるが、赤字(在庫評価損を除くと黒字)には見切りをつけて新体制で臨むことになった。
在庫評価損は、各社の見通しを集計すると約8000億円あるとされている。アバウトでは在庫数量が約4000万キロリットルあり、時価の原油価格で評価すると約2万円/キロリットルが値下がりしており、評価替えすると8000億円の損失となるとの見方もある。原油価格急落の影響を受けたもので、石油業界としては打つ手がないところにある。
原油価格(ドバイ)は12月は60ドル台まで下落したが、さらに1月には40ドルに下落した。2月で値上がり50ドル台に乗せ、3月に下落したが、足元の原油価格は54~5ドル/バーレルで推移している。
4月の新年度入り原油価格は50J台でスタートすることになった。今後は、50ドルより下落すれば評価損、50ドルを上回れば評価益が発生することになるが、見通しは難しいものの50~60ドルの範囲(足元は55~6ドル)で推移するとみられている。二番底で40ドルを切るとの見方もあるが、ここにきて値上がり基調となっている。
今後は原油価格が低位で安定して推移するとなれば、在庫の影響を受けることはなく、真水での利益を確保することが求められることになる。連結では、石油開発事業は、原油安となってきたため苦戦となる。原油価格は100ドル相場が3年以上続いたが、当面は100ドルに戻ることは難しい。石油化学の回復基調にあるが、大幅な増益は見込めない状況にある。
そのためにはコアの石油事業での利益確保にかかっている。需要増は見込めないためマージン確保による増益がポイントとなる。総合エネルギー企業を目指して海外展開、電力事業への参入などが活発化しているが、これらは先行投資であり、新年度の決算には寄与しないため、当面は石油事業での黒字が必須条件となる。
石油事業での利益確保が第一となるが、そのためには市況の再構築、需給の安定化が急務となってきた。
各社とも4月スタートから減産対応で臨んでいる。また、第二次高度化の対応で、出光興産は千葉製油所の能力を2万バーレル/日を削減、東燃ゼネラル石油は川崎工場で1万バーレル/日を削減することで計3万バーレル/日を削減した。設備の廃棄を伴わない公称能力削減であるため、効果は少ないとの見方もあるが、実質減産となるため、それなりの減産効果は期待できる。
能力を2年後には40万バーレル/日を削減することになっているため、各社は同様の対応を行なうとみられる。当面は需要減に対応して需給調整の措置が講じられることになる。
販売面では、昨年秋以降、今年の1月まで値下がりが続いたが、2月で値上げ、3月は値下げとなったが、4月から再度値上がり状況となってきた。連続して値下がりとなった後の2月が値上がりとなり、市況実態と仕切価格との間で乖離が生じたため調整局面となったが、3月期決算を機に新しく調整されたようである。
これからはガソリンは需要期となるが、他油種は不需要期となるため、需給緩和も心配されるが、定期修理などで需給調整が行なわれるものとみられる。