2015.06.30 のニュース
高齢運転者のサポート役に
日本人の平均寿命は男性80.21歳、女性86.61歳。“少子高齢化”は運転免許の保有状況にも表れている。過去10年で「30代未満」は397万人減の1177万人、「30代」は227万人減の1518万人と減少した一方、「60代」は422万人増の1439万人、「70歳以上」は426万人増の932万人と増加、うち「80~84歳」は男性107万人、女性25万人の計132万人、「85歳以上」も男性43万人、女性5万人の計48万人を数える。これが2014年末の保有実態だ。
もちろん、免許保有者の全員が実際に運転する訳ではない。高齢者による交通事故比率が相対的に高まる中、運転免許の返納を促す政策も進められており、自主返納すれば身分証替わりとなる「運転経歴証明書」が交付される。14年の70歳以上に対する証明書交付件数は前年比4.4万件増の13.8万件で、返納は年々着実に増えているが、それでも高齢者講習の受講者数は「70~74歳」が96万人、「75歳以上」が134万人の計230万人にのぼる。年齢に関係なく、できる限り運転を続けたい。なぜなら、クルマは生活必需品だからだ。
自販連調査によれば、運転を続けたい年齢は平均73.9歳までで、うち60代以上の回答に限れば77.4歳、70歳以上だと81.1歳だった。身近な人が運転を中止した年齢は74.7歳。「生涯ドライバー」であり続けたいとの思いが顕著にうかがえる。こうした背景から、JAFでは高齢者安全運転支援講習を開催している。加齢に伴う身体機能の衰えを自覚し、安全に長く運転を続けられるようにするのが目的だが、PR不足もあって受講者数は年間3~400人にとどまっているという。一方、カーディーラーのスタッフが安全運転の方法をアドバイスすることについては、70歳以上の9割弱が望ましいと答えている。
また、クルマの電子化が進展し、自動ブレーキや車線逸脱警報、先行車追従型クルーズコントロールなど先進安全装備の導入も広がっているが、高齢ドライバー対策を含めたユニバーサルデザイン的な観点からも、こうしたニーズが一層高まることは必至だろう。ただ、ハード対策だけでは不十分だ。SS業界として、高齢者ができる限り長く安全運転を続けられるような役割を積極的に果たし、最も身近な存在となって一生涯のカーライフを支えたい。