2015.07.16 のニュース
量販インセンティブの縮小
EMGマーケティングは系列仕切り制度の変更を行い、従来までの燃料油の量販インセンティブを縮小させた。その影響がどうなるのか業界の注目が集まっている。EMG自体からは従来までとそれほど大きくは変わらないとの話もあるが、東名阪を中心に長年、EMG系SSが小売りのプライスリーダーだった市場では他系列を含め反応は敏感だ。
EMGの量販インセンティブはSS単位と代理店・特約店単位の2つに分かれる。これまでその両方が最大値で適用されると、㍑3円超に達していた。ガソリンで3円といえば、卸でみればブランド料相当であり、小売り視点でもガソリン口銭が10円割れに落ち込む昨今であることを踏まえれば、過大だったのだろう。今回の改定によって系列内における大手と中小の格差が縮まり、公平化が促進されるとみられる。
少し前を振り返れば、JX日鉱日石エネルギーも2013年10月にそれまで4円だった販売関連コストを3円に下げ、その一方で、量販インセンティブを縮小させている。同じような主旨の改定にもみえるが、これが元売全体の販売政策として1つの方向感を持つのか。大きな関心が集まるところだ。ガソリンが右肩上がりで売れ、売れれば精製・販売はともに儲かり、売ることで効率性が上がる時代がこれまであった。そのガソリン量販を後押しする元売政策の1つが量販インセンティブである。ガソリン内需減が本格化する中、その役割も変容しつつあるのか、興味深い。
インセンティブ制度とはそもそもなにかと調べてみると、「人の意欲を引き出すためや目標達成を促すために、外部から与える刺激や誘引のこと」、「企業が販売目標を達成した代理店や営業ノルマを達成した社員などに支給する報奨金」などと記されている。さらに経済学では「インセンティブと平等のトレードオフ」という言葉がある。これは出来高払いなどのインセンティブを強化すると必ず分配の平等性は失われるということを指す。今回の改定はその逆となる。
これまで特定のSSが量販インセンティブを追求するあまりに、廉売的な行為を発生させることもあったと記憶する。仕切りの公平化は望ましいことであり、さらにそれが量から質への経営転換や持続可能な口銭確保の実現につながっていくならば大いに歓迎したい。