2015.08.18 のニュース
「適正利益」確保の夏期商戦に
旧盆商戦真っ盛り。ここ数日は帰省と旅行などが重なり、高速道路でも混雑・長い渋滞が予想されており、下り線は昨日、上り線はあすがピークと見込まれている。旅行会社の調査によれば、昨夏に比べガソリン代が下がり、旅行時のマイカー利用意向が高まったというから、クルマ活用の促進におおいに期待したい。
昨年の8月上旬は2つの大型台風が接近・上陸、これに伴う大雨の影響が全国の広範囲におよんだため、我が業界の前半商戦は振るわず油外販売にも水を差されたが、今年は記録的な猛暑でスタート。8月1~10日までの気象庁統計を比べてみると、昨年の真夏日の観測地点数は日平均で全体の43%、うち猛暑日は4%だったが、今年は真夏日が75%、猛暑日が18%を占めた。過去5年を遡っても、猛暑日の観測地点数で3桁がこれほど続いたことはなく、総じて今年の暑さは突出していることがわかる。
向こう1ヵ月の天候予想でも、平均気温は北日本で「高い」、東日本・西日本で「平年並みか高い」との見込みで、暑さがガソリン需要を後押ししてくれそうだ。加えて、特に子育て世帯は生活・旅行面でガソリン代にシビアともみられているから、昨年同期比で約30円値下がりしている現状はユーザーの財布に優しくなっている。
ガソリン内需が減少基調をたどる中、石連週報による8月1週の出荷量は過去5年平均比を上回る好調ぶりをみせた。ここで我々業界が挙って大事にしたいのは、量が出るからといって売り急がないことだろう。ベンチマーク店に対して“1㍑でも多く”と無闇矢鱈に仕掛ければ、なにが起こるかはご存じの通り。負の連鎖を断ち切るのは、実に大変だ。エネルギーの安定供給責務を担う精販両業界の不毛な疲弊は、社会的にみても歓迎されない。
エネ庁の資源・燃料分科会が先月まとめた報告書は「地域の生活・経済を支える事業の維持・強化」として石油販売業に言及。ガソリン小売価格は原油コストと税額を除いた「限られたマージンの中で、石油精製・元売業と石油販売業が利益を分け合う構造」と指摘したうえで、「適正マージンを確保し、必要な再投資を行うことが求められている」と提起している。健全な競争環境下で、多様なビジネスモデルが競い合う姿になっているかを再確認したい。