日刊ニュース

2015.09.07 のニュース

電力は「売る」より「買う」

電力10社の牙城であった全国5200万世帯が2016年に、都市ガス大手3社エリアの2700万世帯という家庭向けが翌17年に自由化される。1996年の特定石油製品輸入暫定措置法の期限切れから丸20年(都市ガスは21年)、2002年の石油業法廃止から14年(同15年)が経過して、地域独占と総括原価方式という手厚い収益が保障された電力と都市ガスの経営基盤がなくなり、20年の送配電網、22年のガス導管部門の切り離しで、完全自由化の時代を迎える。
 電力の自由化に際して、発電、卸電力、大口小売分野へと段階的に参入を進めてきた元売だが、国内石油市場の縮小に直面する中で、数少ない拡大余地がある国内事業の有望な領域ということで、ここのところ積極的な情報発信が目立っている。系列SSの先にいるガソリンユーザーを電気とセットにして取り込もうとするビジネスモデルが披露され、主戦場となる東京電力管内の特約店の中にも、前のめりになって、この電力小売分野に関する石油のすう勢に乗ろうとするところも多いだろう。電力の次には、大手3社のエリア管内では、都市ガス完全自由化も待っている。
 「携帯やスマホの家計支出は、電気やガスよりもはるかに多額」。「大口電力の利幅は厚いが、家庭向け電力の利幅はきわめて薄い」。これは、全石連傘下の石油組合青年部で組織するSS未来フォーラムに招かれた東電幹部の弁だ。系列元売は、系列SSを介してガソリンユーザーに電力を「売る」ということを求めているが、きわめて薄利のガソリン小売粗利にあるSSが、電力とのセット販売という甘言に乗せられて、厚い収益基盤のある携帯セット販売への対抗上、さらに薄利になるという絵柄をも視野に入れた経営判断を行いたい。
 一方、多くのSSに確実にメリットがあるのが、実は電力を「買う」という行為だろう。契約を変更することのみで、いままでよりも安価な電気代が実現できるであろう。通信分野とのセットで「買う」、高圧電力に変更することなどで、さらに割安になる。石油組合という「集合体」を介することで、「買う」という行為のスケールメリットがより高まる方向性もあるだろう。石油組合として、組合員SSの電力を「買う」という行為を共同化する余地が大きくなりそうだ。

提供元:全国石油商業組合連合会
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