日刊ニュース

2015.09.10 のニュース

灯油需要防衛に取り組む覚悟

 灯油商戦を巡る市場環境が年々厳しさを増している。人口減少や少子高齢化の進展など社会構造の変化に加え、電気や都市ガスなどの攻勢によるエネルギー間競争の激化によって、灯油の需要は年々減少を強いられている。2014年度の販売量は7%減の1666万㌔㍑と、4年連続で前年を下回り、1971年度(1624万㌔㍑)以来、43年ぶりの低水準となった。
 資源エネルギー庁がまとめた15年度から19年度までの今後5年間の石油製品需要見通しでも、15年度以降、燃料転換の進展で年率4%の漸減を予測。特に17年度は10%への消費増税の反動で6・4%減の大幅な減少を見込む。19年度には14年度比18・3%減の1377万㌔㍑と、5年間で308万㌔㍑の需要が消失する。このままでは、暖房用エネルギーの座から数年後には滑り落ちてしまう恐れすら出ている。
 こうした需要減に歯止めをかけ、需要の掘り起こしを図ろうという動きが全国各地で増えている。福島石商(根本一彌理事長)では、昨年12月から今年1月末まで「元気ガソリン満タン・安心灯油でホッカホカキャンペーン」を展開。これまでのガソリン満タン運動、SSまつりに新たに灯油を盛り込んで、石油製品全体の需要喚起を図るとともに、災害時に地域の復旧・復興に貢献する“石油の力”を組合一体となってPRした。新潟石商(浜田忠博理事長)でも、昨年10~12月に「灯油まつり」を展開。今回で4回目を迎え、毎年200ヵ所以上の組合員SSが参加する一大イベントとなっているため、消費者からの認知度も高く、今回も3万枚以上の応募が寄せられた。
 一方で、過疎地対策として暖房・給湯エネルギーとして欠かせない灯油の安定供給確保に地域ぐるみで取り組む動きも出ている。大分県杵築市の山間部で、地元の小関石油(小関隆範社長)が県と市の補助と、卸元の大分石油(大分市、永岡壯三社長・昭シェル系)の支援によって各戸に灯油タンクを設置し、巡回して給油する“富山の置き薬”方式を独自に考案、高齢者が多い集落の住民らに大歓迎されている。
 本紙では今期も6月末から「灯油復権プロジェクト2015」をスタートした。灯油のビジネスチャンスを拡大していくための情報提供・PR活動を行う。石油業界一丸となった需要減に歯止めをかける活動に取り組む必要性を強調したい。

提供元:全国石油商業組合連合会
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