日刊ニュース

2015.09.14 のニュース

「民族系元売の時代」への試金石

9月に入り国内ガソリン卸市場の潮目が変わりつつある。弱含み傾向を続けてきた陸上の現物指標が堅調さをみせている。背景には乱高下する原油価格の先行きが見通せない中、軽油など中間3品の精製マージンが依然低迷しており、ガソリンの採算性を保ち、そこに活路を見出したいとの意識が元売間で高まっていることがある。つまり、元売の強い危機感によって市場に変化が生まれ始めているといえる。
 最大手元売が原油処理量の削減に踏み切ったことに続く格好で、9月1~2週の元売週決め仕切り改定は強気な値上げ姿勢が継続している。一方、複数の大手卸業者からは「元売から9月以降、陸上指標に連動した卸体系のあり方を見直したいとの要請が8月末にあった」との話も聞かれる。本当に実行されるのか疑心暗鬼は残るが、その成り行きには注目が集まる。
 陸上指標が弱含みになる要因の1つとして、元売と大手卸業者の値決めの方式があるとされる。具体的には、後決めの陸上指標月間平均値で仕切りを握る大手卸業者が、元売からの出荷枠達成と平均仕入価格を引き下げる目的で「月末などに安い卸値で販売攻勢をかけるため弱含む」という構図が指摘される。
 こうした展開に9月は決別するような動きが濃厚に出てきていることになる。同時に「市場価格を反映しない形で仕切価格が決まることは本質的に良いことか」をはじめ、「需要が不安定で見通しの立たない市場環境下、出荷枠と陸上指標で握る卸フォーミュラを製造業である精製元売が本当にやめられるのか」、「卸市況の環境整備だけ進んでも、小売市場の廉売競争が収まらないと、結果的に事後調整的な実質値引きが発生し、結局、卸値も崩れる」など問題提起も相次ぐが、この成否は今後の市場動向を見通すうえでも重要だ。
 特に来週からの9月後半戦は大いに注目される。出荷枠の達成を図りたい卸業者が焦って売り込み、それを陸上指標が拾い再び弱含む展開になればまた元通りになる。かつて陸上指標は外資メジャー系元売の外販玉が強い影響力を持っていた。それに対して多々批判が上がったが、いまや昔である。市場は民族系大手元売が主導権を持つ時代へと移行を始めている。9月のガソリン卸市場で起こった変化は、今後の民族系時代の先行きをみるうえでの試金石にもなる。

提供元:全国石油商業組合連合会
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