2015.09.24 のニュース
基本方針に異例の明記
8月28日に閣議決定した「中小企業者に関する国等の契約の基本方針」に、新たに「中小石油販売業者に対する配慮」と「地方公共団体への協力依頼」が盛り込まれたことが、これまでの方針とは大きく異なる。
この基本方針自体は中小事業者の官公需の受注拡大を目的に、毎年、閣議決定されているもので、国やその出先機関、さらに地方公共団体に対してその主旨を伝えてきた。基本方針の中では中小企業や小規模事業者全般に対する配慮を求めているのだが、これまでは唯一「中小建設業者への配慮」のみが、別途、項目を立てて掲載されていた。ゼネコンから下請け、孫請け、孫孫請けなど特殊な業界構造となっている建設業については、改めて特記することが必要だったとされる。
しかし、今回はこれに「中小石油販売業者への配慮」が新たに加わった。その背景には東日本大震災を機に大きく変わった燃料油関連の官公需の重要性への評価があり、これを強く訴えてきた全石連や油政連の運動、さらにはその声を受けて政府に対応を迫った石油流通問題議員連盟の強力なバックアップがあった。
何度も紹介しているが、「中小石油販売業者に対する配慮」では、石油組合と地方公共団体などが災害時の燃料供給協定を締結している場合、災害時だけでなく、平時から、石油組合や組合員に対し分離・分割発注や随意契約を行うよう配慮することを求めた。この随意契約も、これまでの方針の中では一部の「少額の随意契約」についてのみ触れられているが、随意契約そのものについて触れている部分はなく、今回のように「当該石油組合との随意契約」と明記されたこと自体、極めて異例だ。
もう1つ、国等の契約の方針は、例年、地方公共団体などに通知されてきたのだが、自治体などはそれを財政難を理由に無視することも多く「いくら閣議決定しても、地方自治体が無視したらなんの効力もない」という声も出ていた。
今回は「地方公共団体との連携強化が必要」との方針を前面に打ち出したうえで、基本方針の要請を経済産業大臣名ですべての地方公共団体に発信し、さらに、この方針に準じて講じられた措置の実施状況を取りまとめ、その情報を公表することにしたのだ。
この異例の措置が講じられたことをバックに、実際の成果を出すことがSS業界の最大の課題である。