日刊ニュース

2015.11.24 のニュース

2強時代へ寡占度合の判断

精製元売の再編に注目が集まる。昭和シェル石油と出光興産が12日、経営統合に関する基本合意書を締結した。対等の精神に基づく合意で、統合の方式は「合併を基本方針」としている。昨年12月20日に一部全国紙が「出光が昭シェル買収」と報じてから約1年が経つ。これから始まるのであろう公正取引委員会の審査などを踏まえると、統合発足日は来年10月から再来年4月が目途とする。先はまだ長いという印象だ。
 昭シェルと出光の基本合意から4日後、また一部全国紙によって東燃ゼネラル石油とJXホールディングスが「経営統合の年内合意を目指す」と報道された。約1年前の昭シェル・出光の報道を思い起こさせる出来事である。東燃ゼネ、JXともに同日午前に「当社として発表したものではない。現時点で決定した事実はない」とのコメントを公表したが、販売業者の中には「報道の後すぐ否定のコメントが出るのは慣れっこ。また1つ、JX、出光による元売2強時代への既成事実が積み上がった感じ」(EMG系)などの反応が多い。
 直近の資料から国内燃料油販売シェアをみると、昭シェル・出光統合後においてはJX=35・7%、昭シェル・出光=計32%、東燃ゼネ=16・3%、コスモ=11・2%、その他4・8%。この場合、2強の合算値は67・7%となる。一方、仮に東燃ゼネ・JX統合が実現した場合を想定すると、東燃ゼネ・JX=計52%となり、昭シェル・出光との2強だけで市場占有率は84%に達する。実現に至れば、圧倒的な力を得ることで精製だけなく物流、流通の段階でも大きな変化が起こるだろう。「実現へ進めば、これまでの合併とは全く規模、質的にも異なる統合になる」(JX系大手)との見方がされる。
 2強化に向けては公取委の審査も必要となる。公取委は『企業結合規制のガイドライン』でセーフハーバー基準(通常競争を制限することにならない企業統合の範囲)を示している。許される範囲は市場寡占度を表すHHI(各企業のシェアを2乗しそれを合算して算出)によって規定される。同基準のもとで過去に問題なしとされた事例の中には、国内市場における輸入などを考慮し認められた新日石と新日鉱の統合などがある。当面、公取委審査の対象は出光・昭シェルだが、その動向は注目される。

提供元:全国石油商業組合連合会
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