2016.01.27 のニュース
変化の時こそ再構築の好機
原油、製品卸、SS小売価格の下落が止まらない。中東産原油はドル建て、円建てともに12年ぶりの安値となり、先週にはバレル30㌦割れ、㍑20円割れとなった。国内製品市況も、系列仕切りの先行参考指標となるTOCOM2月ガソリン東京バージ、中京ローリーともに30円(ガソリン税別)割れに沈んだ。ガソリン精製粗利の近況は13円前後となる水準だが、元売の収益面では、「これでは到底足りない」という評価になる。
経営の不具合について、原油暴落による在庫評価影響のマイナス、という言い訳は理解できる。暖冬という自然現象による販売減も自助努力の及ばない要因であるから同様だが、自助努力の及ぶ範囲で、本当に経営努力を惜しまなかったのか、という点では疑問が残る。
韓国などアジアからのガソリン輸入価格の近況は39円前後だ。2次にわたる高度化法による精製能力削減を求められた背景には、内需減退とともにアジア製油所とのコスト競争力における国内劣勢があったはずだが、そのアジア市況よりも大幅割安に沈んでいる国内製品市況の実勢を、どう言い訳するのだろうか。今年度4~1月までの製品市況「アジア高・国内安」は、ガソリン4円弱、灯油5円強、軽油2円弱となる。アジアの石油メーカーと比較して、通年度収益の単純計算で、ガソリンで2千億円、灯油でも800億円、軽油は500億円、SS関連3油種計では3300億円の収益を喪失したことになる。TOCOMはだめ、MOPSでもだめ。製品輸出入機能の増強より、過当競争に拍車をかけるSS新設を優先させた。価格指標の採用を拒み、原油連動という前時代的な道を選択しようとし、さらには機能不全と評価する情報会社が発信する相場情報に下値誘導された。これらの複合的な不作為の結果がロスの主因であろう。
期中に小幅な反動上げを挟み、ガソリンSS小売価格も丸7ヵ月、実質28週連続値下がりの過程にある。激戦地の小売価格ではガソリン100円割れが多発する状況にある。ホームセンターや倉庫店の新設・併設があるわけではないのに、28週間累計で30円を超える値下がりが生じた地域がある一方、25円以下の下げ幅にとどまった地域もある。大きく相場が動く変化の時こそ、収益、経営の再構築の好機である。SS経営者として、収益向上に不作為がなきよう、心を尽くし、知恵を絞りたい。