2016.03.04 のニュース
灯油商戦は暖冬で減販続く
灯油シーズンは、3月に入り終盤となる。灯油は天候次第となり、ここ数日は冷え込みが厳しいが、週末は気温が上昇するとの予報もあり、これからは天候を見ながら在庫調整の時期に入る。
今冬は暖冬による減販と原油価格の値下がりによる市況下落という苦戦の灯油商戦となったようである。寒冷地でも雪が降らずスキー場のオープンが遅れるとか、積雪がなく、除雪車の出番がないとか、凍結予防のための温水を供給するケースが遅れ、SSでのスノータイヤの販売も減少した。
今冬の灯油販売は前半の昨年10-12月の販売が暖冬となり前年比13%の減となり、販売不振となった。最盛期の12月販売が255万キロリットルで17%減となった。今年1月は274万キロリットルで0.6%減、2月販売も、閏年で1日多いが、マイナスが予想されている。
灯油の27年度の見通しは1.9%減となっている。これに暖冬の影響が加わることになる。電気、ガスでの燃料転換で減販が見込まれており需要見通しでもむこう5年間では年率4%減となっている。
東日本大震災から5年を経過したが、災害当時は灯油、ガソリンなど石油製品の安定供給が要請され、とくに灯油の重要性が認識された。一時は需要回復が期待されたが、その後に、電気、ガスのインフラが整備されると灯油は利便性から不利となり、減販が続いている。
灯油の販売価格が10ドル/バーレル台が焼く年続き、灯油の割高感がユーザーに浸透したこともあり、灯油離れが浸透したことになる。需要回復を狙って石油連盟では灯油増販キャンペーンを実施しているが、需要が回復することは難しい状況にある。灯油価格は原油価格の急落が昨シーズンと連続して今冬も値下がりしたが、値下がり効果は寄与しないようである。
原油価格は昨年1月には40ドルから6月には60ドルへと値上がりしたが、今年1月には20ドル台へと下落、その後は値上がりして足元30ドル台で推移している。
原油安に対してロシアとサウジなど産油国間で強調減産の動きも取りざたされており、その影響で値上がり傾向を見せている。強調原産で足並みが揃うか否かはまだ不明であるが、産油国間でも原油安の危機感が強まり、新しい動きが出てきたことになる。
灯油の仕切り価格は今年2月は44円と約20円の値下がりとなっている。このように灯油価格は2シーズン連続して値下がりとなった。昨シーズンは、夏場から一気に下落したため相場づくりに苦慮したのと、シーズン前の値上がりを見込んで在庫を持った。しかし、その後も急落で大損したが、今冬も、シーズンに入ると急落する状況が二年続いたことになる。タンクを保有している大手業者は苦戦となったが、在庫を持たない業者は仕切り価格の値下げ合わせをして販売したことでマージンを確保したことになる。