日刊ニュース

2016.03.11 のニュース

大きな束になって戦う選択

資源エネルギー庁石油流通課が主宰する「SS経営力強化のための検討会」の潮流を受けて、全石連は先ごろボランタリーチェーン(VC)検討会を開催した(2日付既報)。同会で、国内VCで最多加盟店を擁する家電VCの創業者会長が語った家電業界の栄枯盛衰ストーリーは、SS業界のたどってきた、さらには今後たどる可能性が高いであろう道と重なるように見えた。
 ナショナルのお店、日立のお店といったメーカー系列チェーン店が小売市場担った高度成長期は、市場規模が右肩上がりの時代で、ウィン-ウィンの関係がメーカーとチェーン店の間にあった。成長に陰りが出る一方で量販店への寡占化が進むと、儲からなくなったチェーン店には不満がたまるが、設備投資を行った工場の稼働率を極限まで高めたいメーカーは、なにがなんでも売ろうとする。その結果、大量に売る力のある量販店への寡占化が一段と進む。
 その家電業界では、寡占化したはずの量販店から、ネット通販へのシェア移動が進んでいる。よりコスト競争力の強いネット通販事業者が廉売でシェアをじりじりと高める構造変化だ。その代表選手はアマゾンだが、さらにコスト競争力の強い事業者が、かのコストコだ。
 全国一律で時給1200円以上という待遇、さらには一大商業施設が建設される側面で、地元自治体や地権者の諸手を挙げる誘致活動を含め、このコストコに、一体だれがかなうのか。コストコはまもなく宮城県富谷町に日本26店目を新設するが、先ごろSSを先行オープンさせた。SS併設店は山形県上山、富山県射水、愛知県中部空港(常滑市)、岐阜羽島、そして宮城県富谷の5店となった。今後も浜松市東区への17年夏の開業を明らかにしているほか、国内50店舗体制を意図しているという。既存店を含め、敷地に余裕のある郊外型の全店舗にSSを併設する計画だともいう。たいていの倉庫店には自動車修理工場があり、取付作業を含むタイヤの価格競争力も驚異的な値付けがされている。商圏内の地域SSに残される油外収益の範囲も、極めて限定的と考えるべきだろう。
 コンビニなどのフランチャイズとは異なり、VCは、地域の独立店が単独の経営体を維持しつつ、組織と行動のシステムを通じて、志を同じくする人たちが大きな束になって戦うひとつの選択肢で、経済産業省による流通近代化対策でもある。

提供元:全国石油商業組合連合会
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