2016.03.16 のニュース
元売ヒアリングが示す市場
資源エネルギー庁はこのほど、2015年度10~12月期の元売ヒアリング結果をまとめた(11日付既報)。
この中で、一部元売が行っている当月内の事後的な仕切り調整について、地域性や販売量などに関係なく全国一律で実施しているという社や、一部の地域や事業者だけが利益を得ないよう調整額の上限を設け、差別対価的な価格差とならないよう配慮している社もあった。事後調整は、公正な競争環境が阻害されているなどの問題意識が高く、是正の必要性を認識しており、公正・透明な価格指標が形成されることを期待する社が多かったという。
非系列出荷量の状況をみると、全元売7社中5社で減少したものの2社で増加。増加した2社は安定的な非系列取引先への販売が増えたほか、事後調整のない先決めによる仕切価格が不透明な市場の中で評価され、結果的に非系列販売が伸びたためという。つまりこれは、非系列玉を扱う異業種SSやPB業者らが事後調整のない先決め仕切りを、程度の差はあれ支持しているという実態にほかならない。ある意味、低マージンでの過当競争が常態化している地域が全国各地に散見される現在の石油流通市場において、自らの仕入価格が不透明では、とても競争できる状況にないことを物語っている。
一方、系列特約店・販売店にとっても、週次では建値で仕切られ、事後調整で最終的に利益は確保されるようにみえるが、先決め仕切りで自らのマージンを乗せて、低価格で販売してくる異業種SSや一部のPB安値量販店に対し、自らの仕入価格が不透明なまま、自社のマージンを考える間もなく、安値量販に突き進まざるを得ない系列特約店・販売店とで、どちらが競争上優位であるかは一目瞭然だろう。不透明な仕切価格が系列特約店・販売店をどんどん劣勢に追い込まれている。
エネ庁では、2月に開催した総合資源エネルギー調査会資源・燃料分科会において、事後的な卸価格の調整など不透明な商習慣の是正に加え、需給を適切に反映した卸価格指標の構築などを政策課題の1つとして掲げた。今後こうした問題について審議会などの場を通じて具体的に検討していく方針を明らかにした。
エネルギー供給の“最後の砦”である地場中小SSが、元売再編を前にしたシェア争いの犠牲者にならぬよう、一刻も早い公正・透明な仕切価格体系の確立が喫緊の課題である。