2016.03.25 のニュース
精販連携で増税転嫁を
4月1日から地球温暖化対策税の第3段目の増税が実施される。CO2排出抑制対策など地球温暖化防止のために必要となる財源を確保するため、2012年10月から、ガソリン、軽油、灯油などの化石燃料に3回に分けて導入されてきたもので、今回が最後の増税となる。
石油製品にはすでに1㍑当たり2・04円の石油石炭税が課せられていたが、12年10月以降これに新たに0・76円を上乗せする形で地球温暖化対策税が課されることになった。
この際、化石燃料を大量に使っている産業界のコスト増によるダメージを低減するために0・25円、0・25円、0・26円の3回に分け、足掛け5年をかけて税率を引き上げてきた。しかし、SS店頭では、日本の通貨にない1円以下の税金を直接、消費者から徴収しなければならないために、お客さんへの説明も難しくなってくる。その分の完全転嫁ができなかった場合、その分は販売業者が負担することになる。
全石連や油政連はこれまで、石油製品を対象にした新税導入や増税については一貫して反対してきた。ただでさえ高い税率で多重、多段階の税額が課せられているうえに、原油価格で変わる毎週の仕切価格の変更に際しても値上げの場合は即時転嫁ができず、どうしても未転嫁分を被ってきた。今回の0・26円の増税についても「このくらいならまけてくれ」というお客さんもいるだろうし、その一方できりのいい額を上乗せしたら「便乗値上げ」と批判される。
一方の精製元売は、週決めの仕切価格に増税額を上乗せし、その額を特約店に請求するだけで転嫁が完了する。増税分を消費者に転嫁できなければその分はSSが小売マージンを削って元売に払うしかない。そうしたことは元売も十分認識しているはずだ。だからこそ元売各社は、この最後の増税転嫁を確実かつ円滑に実施できるよう必要十分な配慮を行うべきである。
そのために先頭に立って増税転嫁をリードするのが元売販売子会社である。全国で販売されるガソリンの約4分の1は販社SS経由である。これだけの影響力を持つ販社が、自ら率先して増税分を完全転嫁することで、周辺の一般SSが増税しやすくなるのである。仕切価格の転嫁はもちろんだが、増税転嫁は元売と販売業界が国のためにも連携して乗り切る課題である。