日刊ニュース

2016.04.05 のニュース

不公平な燃料課税の見直し

 経済産業省はこのほど、燃料電池車(FCV)に水素を供給する水素ステーション(ST)を25年度までに320ヵ所、FCVも30年までに80万台まで増やすという野心的な水素・燃料電池戦略ロードマップを策定した。世界に先駆けて水素社会の実現を目指すべく、メーカーや事業者にコスト削減やさらなる技術開発を求めていくほか、規制見直しや補助制度などで普及を後押ししていく。
 ロードマップでは、①水素ST②FCV③定置用燃料電池(エネファーム)の普及拡大に向けて数値目標を初めて掲げた。水素STは高額な建設費や運営費などが足かせとなって、政府が目標として掲げていた15年度中に全国で100ヵ所という整備目標は、約80ヵ所にとどまる見通しだ。このため、設備・機器のコスト低減に向けた技術開発への政策・補助支援のほか、セルフ充填も可能とする規制の見直しなどで、20年度に160ヵ所、25年度に320ヵ所まで拡大する。
 現在、発売台数が約500台にとどまるFCVも、初期需要を促す補助支援などにより、20年までに4万台、25年までに20万台、30年までに80万台を目指す。
 保有台数に占める割合は、30年でもわずか1%で、ガソリン車やディーゼル車などの内燃機関車が自動車のパワートレインの中心であり続けるとみられる。一方、水素STも首都圏を中心に東名阪福の大都市への整備が中心で、全国津々浦々まで水素を供給するネットワークの構築にはまだまだ時間がかかりそうだ。
 しかし、今後の普及拡大を見据え考えなければならないのは自動車税制の問題だ。ガソリン車ユーザーは自動車の購入・保有にかかる税金に加え、小売価格構成比の約6割をガソリン税や石油石炭税、消費税で占める高額な税金を負担している。FCVやEVの燃料である水素や電気に対する燃料課税はない。
 人口減、少子高齢化の進展、低燃費車の普及などを背景にガソリンなどの需要減が顕在化しており、30年度のガソリン需要が10年度比6割減となる衝撃的な需要見通しも示されるなど、国の税収に大きな穴が開くおそれもあり、これまでの燃料課税から道路走行課税へと変えていかなければならないかもしれない。いずれにしても車体課税の見直しとともに、自動車燃料間の不公平感をなくす燃料課税の抜本的な見直しに着手する時期に来ているのではないか。

提供元:全国石油商業組合連合会
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