日刊ニュース

2016.05.11 のニュース

前哨戦の3社海上指標を注視

2016年は業界史に残る年になるのか。4月から価格指標における業界初の競争が始まった。米国系で世界的な価格指標会社プラッツが先月25日から京浜、中京、阪神の3エリアを対象に海上取引の指標価格を提供、26日には米国最大の価格指標会社OPIS(オーピス)も京浜海上指標の情報を流し始めた。両社とも、現在は無料で価格情報をみることができる。
 石油業界自体は行き過ぎた競争に襲われ苦しむ中だが、今回始まった指標の競争では決定プロセスが洗練され、より透明化・公平化が進むとの期待感がある。国内は長年、日本のリム情報開発社が提供する指標価格を取引の物差しとして使ってきたが、ここにきて環境が変化した。業界に例えると、国内元売がほぼ独占する市場に世界的メジャーと米国の有力独立系石油会社が参入してきた構図だ。
 3社のアセスメント、いわゆる指標の決定方法は大きく2つに分かれる。1つはプラッツが得意とするウィンドウ方式。ウィンドウと呼ばれるネット上の仕組みを用意し、そこで1日のうち午後3時からの30分間の取引を行い、指標価格を決める。最大の特徴は取引者の実名が表記されることで、透明性が高いといわれる。実名を明らかにするのは日本の商習慣に合わないとされているが、現在までのところ元売をはじめ複数の商社が取引者として名前を連ねている。もう1つがオーピスやリムの評価方法。両社ともに特定時間を定めず、海上取引の成約価格から売・買の唱値の情報まで1日中、幅広く収集し、指標価格を評価する方法を採用している。
 3指標が揃った4月26日時点の京浜ガソリン価格水準は税込み95.2~3円でほぼ横一線だったが、5月2日には高値と安値の指標で1・4円もの値差がついた。今後、3つのうちどの指標が市場の実態を捉えているとされるのか。そもそも“正しい指標”とはそれぞれのポジションで個々に異なるが、業界の最大公約数がどこを良しと判断するのかは目が離せない。
 足元は元売と商社が取引する海上ということで、販売業界との関連は濃くない。ただ、プラッツもオーピスも今後、陸上指標に参入する意向を示しており、陸上でもいずれ巴戦が起こる。その時、経営判断が振り回されることがないよう、各指標の特性、立ち位置を見極めておきたい。まずは前哨戦となる海上指標の競争を注視しよう。

提供元:全国石油商業組合連合会
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