2016.05.24 のニュース
SSの力を発揮するために
最大震度7という激震を2度も耐え、災害時のエネルギー供給の“最後の砦”としての重責を全うした熊本地震被災地のSS。4月14日夜の前震、そして16日未明の本震後も石油製品の安定供給に懸命に取り組んだ。2011年3月の東日本大震災の記憶が徐々に風化しつつある中で、復旧・復興に向け、国民生活や経済を支え、地域に密着したエネルギー供給拠点として、『SSの力』そして『石油の力』を改めて強く印象付けた。
東日本大震災を教訓に、現在、全国に中核SSが約1600ヵ所、小口配送拠点が約500ヵ所が設置されているが、特に甚大な被害が発生した熊本県内では、中核SSと小口配送拠点などが消防車などの緊急車両に優先給油を行うとともに、停電によって市民生活が混乱、支障を来たす中で、避難所、病院、社会福祉施設などの非常用発電機用の燃料配送によって、被災者らの生活再建を支え、入院患者らの命を守った。また、被災地の停電を解消するため、全国の電力会社から集められた電源車にピストン輸送で燃料を配送し続け、停電の解消にも貢献した。
今後、被災地では道路、橋、上下水道、送電線などインフラの復旧工事に加え、大量に発生しているがれき・廃棄物の処理、住宅・観光施設・工場の補修・建設などの復興事業が本格的に始動する。地域のSSは、被災者や市民らの日常生活を支える燃料供給に加え、物資輸送車や建設機械・重機などの復旧・復興作業車両への燃料供給にも万全を期していかねばならない。
しかし、被災地では計量機・精算機などの倒壊、防火塀や土間の損傷など甚大な被害を被ったSSもある。こうした設備・機器類の補修や交換・入換などには数千万円規模の負担がのしかかるとみられる。こうした被災地のSSは零細な小規模事業者が多く、多額の投資に耐えられず、被災を契機にSS廃業が相次ぎ、エネルギー供給の“最後の砦”が消滅してしまうことが危惧されている。
このような事態を防ぐため、熊本石商は16日、三角清一理事長が蒲島郁夫県知事に直接、被災SSの早期復旧に向けた支援制度の創設を国に要望してほしいと強く訴えた。
被災地が未曾有の地震被害から立ち直るには、石油そしてSSの力が存分に発揮されなければならない。そのために石油業界、国・自治体、市民らの三位一体の連携が重要だ。