日刊ニュース

2016.05.25 のニュース

ミャンマーへSS進出の意義

石油販売業者による海外へのSS進出はいまだ冒険的なトライアルかもしれない。発展するアジア市場に参入すれば「成長の果実」を味わえる可能性があることは高度経済成長期を経験した日本人なら理解できることだが、海外進出は簡単に飛び超えられるハードルではない。
 小売業はドメスティックなものであり、地域に密着しないと成功しない。他国は他人の家のようなもので、遊びに出向くぶんには良いがそこに住むとなれば様々な課題が発生する。国情の違いから事業規制のある国も多い。
 一方で、国内のガソリン内需減は深刻さを増している。人口減、燃費向上などが要因だが、この傾向は残念ながら止まらない。先月、全石連経営部会で中小企業基盤整備機構理事長を務める高田坦史石油協会理事(元トヨタ自動車専務取締役)が講演。国内の中小企業の成長力が大企業に比べ劣る要因は「成長する海外市場に進出していないこと」と指摘した。東燃ゼネラルが豪州の小売市場に進出し、JXエネと出光もベトナムへの参入を計画している。精・販の資本力格差といえばそれまでだが、石油業界においても元売はじわり海外へも視野を広げようとしている。
 今年2月、大阪の石油販売業者・冨尾石油などが現地法人を支援する格好で東南アジアのミャンマーにSSを新設オープンした。ミャンマー中部のシャン州ヘイホの幹線沿い。近隣の現地SSと異なり、お揃いのユニフォームを着て元気にあいさつし、タオルで窓を拭く日本型フルサービスの運営形式を採り、好評と聞く。今後はタイヤ、バッテリーなどのカーケアにも力を入れていくとしており、定着すれば労働力の豊富なアジアの利を生かしたSS版のJAPANブランドを確立すること、ひいては同国の車社会に貢献することにつながると期待する。
 同SSは資源エネルギー庁が公表した『SS経営に関する優秀事例100選』にも選ばれた。企業体としての競争力強化を図っている事例の1つとして紹介されており、内容は興味深い。ただ、石油販売業者による海外へのSS進出は、現時点で野心的な試みの範疇である。国も販売業界の強靭化のため、こうした挑戦を評価し、輪の広がりを望むならば、その基盤づくりにもう一歩、踏み込んで支援措置を検討することがあって良いのではないか。

提供元:全国石油商業組合連合会
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