2016.06.17 のニュース
VOC問題の情報共有を
「ぜんせきweb」5月アンケートでは、「VOC問題」をとり上げた。アンケートの第1の視点は「VOC問題を知っているか、関心はあるか」。第2の視点は、ここへきてVOC問題がにわかに注目される要因となったステージⅡが「義務化されたらどうするか」。
第1の視点については、「知っている。たいへん関心がある」が52%と半数以上を占めたが、一方で「VOC問題を知らない」が18%、「知っているが、影響はなさそうなので関心はない」が13%と、「知らない」「関心がない」を併せると3割を超えたことは特筆される。
後述するステージⅡ問題への対応云々以前に、VOC問題が内包するSS業界にとっての真の問題点を、まずは業界全体で共有する必要があるということだろう。現在ピークを迎えている全国の石油組合の総(代)会において、新年度の重点項目に「VOC対策」を掲げるケースが多くなっているが、それでも業界全体としての認知度は、まだまだ高くないということだ。
第2の視点である「ステージⅡが義務化されたらどうするか」については、「自力でSS経営を続ける」との回答は「銀行などから金を借りて」を含めても12%にとどまり、「負担しきれない。SS経営から撤退する」と「懸垂式なので導入は不可。SSを閉めるしかない」を併せた24%を大きく下回った。総じて“自力での存続”には悲観的な見方が大勢を占め、この問題の深刻さをうかがわせる。
アンケート結果から総体的に見えてくるのは、「第2の地下タンク問題」と言われる以上に、VOC問題はSS業界にとって深刻さをはらんでいるにもかかわらず、まだそのことが、広く、深く業界全体に浸透しているとは言えない現状だ。
しかし、「地下タンク問題」に続いて「第2の地下タンク問題」がSS業界に襲いかかることになれば、アンケートのその他意見の中に「零細企業にとっては到底賄えない金額。閉鎖SSが増える」との指摘があったように、エネルギー安定供給の“最後の砦”であったはずのSSが壊滅的な打撃を被り、国が打ち出すSS過疎地対策どころではなくなる可能性すら想定される。
国にとっても失うものが大きいVOC問題のこの流れを一刻も早く断ち切るために、業界としてまずは情報を共有し、組織の力を結集する必要がある。