日刊ニュース

2016.06.20 のニュース

俎上に載った卸価格指標構築

資源エネルギー庁は先月開催した総合資源エネルギー調査会資源・燃料分科会で、今後の石油中下流部門(調達・精製・流通・販売)の政策の方向性などについて論点を示した。エネ庁は、ガソリンなどの石油製品について、①低廉な価格で、②平時・危機時を問わず、③全国各地に安定供給することを最大の政策目標に掲げ、製油所からSSに至る石油サプライチェーンの生産性向上のほか、公正・透明な市場形成と取引環境の整備や、災害時の危機対策・SS過疎地対策などの公益的課題に取り組んでいく必要性を指摘した。
 今後の石油中下流部門の政策のうち、SSを中心とした流通・販売政策については、地域のエネルギー供給の“最後の砦”であるSSネットワークの維持・確保に向け、各SSが将来の再投資を実施し中長期的に燃料の安定供給の役割を担うためには「収益力強化や生産性向上を通じたさらなる経営力の強化が求められる」と指摘。燃料油販売にのみ頼るのではなく、顧客や地域のニーズに応える多角的なビジネスの展開や、共同仕入れ・物流合理化などによる生産性向上の必要性を提言した。
 さらにエネ庁は、ガソリンなどの公正・透明な市場形成と取引環境の整備に向けて、「大きな業転格差」「不透明な事後調整」の問題を提起。業転格差が「販売業者間での不公平感を生み出し」、事後調整によって「販売業者のコスト意識に根差した経営改善努力を曇らせ、市場メカニズムが十分機能しない」と、再投資可能な収益確保による健全経営には、ほど遠い現状を浮き彫りにさせた。
 石油市場では、陸上スポット価格が海上スポット価格を下回る逆転現象が常態化している。これが業転格差を生み出し、ガソリンなどの過当競争が激化して、事後的に卸価格を調整せざるを得ない悪循環に陥っている。
 そのうえで、元売|特約店、特約店|販売店をはじめとする市場参加者間の公正取引を促し、市場環境を整備していくため、①国際需給を適切に反映した、市場参加者に信頼される卸価格指標の構築②取引慣行の透明化・適正化(事後調整の実施基準の明確化など)の必要性を示唆した。
 石油製品の需要減や元売再編など流通構造が大きく変化する中で、商慣行の透明化・適正化と国内需給を適切に反映した卸価格指標の構築が、公正競争市場確立の喫緊の課題と言えよう。

提供元:全国石油商業組合連合会
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