日刊ニュース

2016.06.13 のニュース

G卸指標の“岩盤”強度

岩盤の弱さはリスクと認識するべきだろう。6月1週に入って、元売は再びガソリン卸価格のリセットを図っている。元売各社の仕切り改定を順にみると、5月31日のEMG系列が1円上げ、1日の昭シェルが5円上げ、2日のJXは据え置き、出光は1円上げ、3日のコスモが5円上げと続き、4日にはEMG系列が3.5円の再値上げを実施した。「5~6月累計の原油コスト上昇から換算すると、5円の未転嫁」という情報が元売から流れていたため、大幅値上げが出揃うと想定されたが、ばらついた。ただ、仕切り改定がばらついた割に実際の市場は反応をみせている。
 その要因の1つはガソリン陸上玉がはね上がったこと。陸上玉の水準をみると、蔵出しのガソリン税込みで30日95.3円、31日99.2円、1日99.1円、2日98.9円、3日98.7円と推移。一時はSS届けで3桁台に乗った。1日に3.5円上げを通知した中京タンク筋のガソリン卸が2日になって0.8円値下げに転じるなど、迷走感はあるものの、安値の温床と揶揄されてきた陸上業転の値上がりが市場に上昇圧力を与えた。「これまでの在庫がなくなる今週は、元売が本気ならさらに底堅い展開になる」(商社筋)と見通す。
 一方、系列仕切りはどうか。一部系列では、いわゆるブランド料や配送費を除いた系列仕切りの指標価格が陸上の業転玉より割安になっている。これまでも元売による卸価格のリセットは幾度となく繰り返されてきた。そうした中だが、今回のリセットの焦点は、一部元売が系列特約店に「指標価格の岩盤水準は98.8円」と示したことだろう。さらに6月はこの岩盤水準のもと、従来までの「事後調整は実施しない」ともしている。実行されれば、ガソリンの卸市場にとっては新展開である。系列仕切りは業転と違い、格差が大きいが岩盤指標が機能すれば、収れんする可能性が出てくる。
 岩盤指標にいわゆるブランド料等や配送料を加算すれば、実仕切りがそれぞれの販売業者でも把握でき、それをベースに小売市況を構築できるようになる。逆にいえば強固な岩盤がない中、その上に適正な市場を打ち立てることは困難といえる。日本は地震国であり地盤が強くない。我々はそのリスクを骨身に沁みて知っている。ガソリン卸においても、岩盤の弱さはリスクであることに変わりない。 

提供元:全国石油商業組合連合会
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