日刊ニュース

2016.06.22 のニュース

EV無視するか、取り込むべきか

国内における日本規格EV急速充電器の設置数が約6千6百基、6千5百ヵ所となった。国道と県道の総延長距離で割ると、おおよそ30㌔㍍ごとにEVステーション(EV-S)がある計算という。
 神奈川では916ヵ所に対して368ヵ所、埼玉でも1058ヵ所に対して320ヵ所。前記がSS数、後記がEV-S数であり、最多の神奈川ではSS数の3分の1以上に達し、おおよそ5㌔ごとにEV-Sがある計算になる。埼玉、東京、大阪でも10㌔ごとにある密度になる。国が2012年度の補正予算で1005億円を措置するなどして後押しし、充電インフラの整備が加速したもので、あと2~3年後には1万ヵ所の大台に乗るだろう。
 こうした概観をみる限り、首都圏をはじめとする大都市圏を回遊する場合においては、家庭などにおける「基礎充電設備」もあるから、もう「電欠」の心配は過去の話になりつつある。一方のSSは依然として「過剰」という枕詞が冠され続けている。
 EV向け充填インフラ整備サポートが続く一方で、肝心のEV普及は保有8万台程度、PHVを含めても12万台程度で、8千万台というクルマ社会においての存在感は、まだまだ薄い。地域別では多い順に東京、愛知、神奈川、埼玉、福岡と、やはり大都市に偏っている。EV-S1ヵ所あたりのEV台数は、最多の東京でも30台程度に過ぎない。しかも最も売れている日産リーフでも、実際の航続可能距離は「夏160㌔、冬100㌔」という。
 航続距離を倍増させるバッテリー性能の向上が普及への課題だが、米国テスラの新型車は、リーフ最上位車の2.5倍の航続距離となっている。国は今年度も43億円を措置して技術革新を促す。4年後の20年に「最大100万台」が普及目標だ。
 家庭や職場などにおける「基礎充電」設備、それを補完する「急速充電」、そして燃費に相当する「電費」、ガソリン代に相当する「電気代」から、1㌔あたり1~2円程度のEV走行コストが弾き出される。ガソリン車の10分の1程度となる。
 EV向け「売電」は、商売としては、まず成立不可能であろう。ただしEVは確実に増える。洗車、タイヤ、鈑金・塗装などの関連ビジネスもガソリン車と同様にあるだろう。これらの変化に、どう向き合うべきか。SS経営の分岐点でもある。

提供元:全国石油商業組合連合会
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