2016.07.11 のニュース
税を除いた正味価格の視点
一般的な仕入れ水準からは考えにくい安値を掲げる系列SSがある。価格転嫁への対応もPBより遅れる系列量販指向店が散見され、毎週のように特売セールを開催していたりもする。マスメディアが原油価格の上昇を報じてきた中、ユーザーにはどう映るだろう。まだ余裕がある、と誤解されまいか。
総会シーズンは日夜SS店頭で奮闘している方々とお会いする機会も増える。ガソリンには大きな石油関係諸税が課せられていて、正味では非常に厳しい商環境に置かれている実情を業界挙げてアピールしなければならないと、改めて思う。
エネ庁調査によるレギュラーの2015年度全国平均小売価格は㍑131.6円だった。内訳をみると、正味価格の65.5円に対し、ガソリン税53.8円、地球温暖化対策税を含めた石油石炭税2.54円、これらの合計額に課せられる消費税が9.7円、税金累計は66.0円と、税負担が過半を占めた。4月以降は温対税がさらに上乗せされて石石税2.8円となり、税金比率は4月56%、5月55%に達し、いずれも正味価格より税額が10円以上多くなっているのである。
業界全体でみれば、石油諸税の過重負担は一層際立つ。石油連盟がまとめた2016年度版「石油税制便覧」などによると、今年度予算ベースで、石油石炭税6880億円、ガソリン税2兆6413億円、軽油引取税9245億円など石油諸税の合計額は4兆3400億円にのぼる。これは、租税総収入約100兆円の4.3%にあたり、ガソリン税だけでも車体課税(自動車税、軽自動車税、重量税、取得税)合計の2兆5257億円を上回る。また、石油は消費税合計も1兆2900億円に達し、うちタックス・オン・タックス分が2700億円を占める。総計なんと5兆6300億円。
現行本則税率の起点である1964年4月のガソリン税は、揮発油税24.3円、地方揮発油税4.4円の計28.7円、軽油引取税は15円。これに暫定税率が上乗せされ、93年12月以降、08年4月の1ヵ月間を除いて揮発油税が2倍の48.6円、地方揮発油税が5.2円の計53.8円、軽油引取税は32.1円となった。石油諸税の重みは、自動車ユーザー・SS双方に圧しかかっている。この事実を共有するために、最前線に立つSSスタッフの理解を深めると同時に、経営感覚にもしっかりと組み入れる必要がある。