2016.07.12 のニュース
「透明・公正」は至上命題である
この1-3月期を対象にした資源エネルギー庁による元売ヒアリング結果が公表された。ウオッチャーの1人として注目したのは、前回までトップだった「石油流通証明書について」が、今回は最後の取扱いに位置を下げたことだが、トップ扱いに躍り出た「公正で透明な市場の形成について」では、エネ庁が問題意識を有し「課題」として俎上に上げた。さらにエネ庁として「事後的な調整が行われないような基準価格の設定・運用、またはその基準を明確化するといった運用が求められる」と評価、総合エネ調としても政策課題と位置付けたうえで、「今後、検討をしていく予定」と明記した。これに石連・木村会長は、「卸価格の決定は元売各社の自主的判断に委ねるべきもの」として牽制、行政の介入にブレーキをかけたい意思を明確に示している。
そもそもビジネスの根幹である「卸価格」について、国内石油業界では慣例として、「仕切価格」と称している。あるビジネス解説書の中でも「石油業界の特殊用語」として、「末端の価格状況に応じて、後で値引き(事後調整)することもある卸価格」と解説がされているケースさえある。「仕切価格」ということ事態が、我々の異常さを示しているのかもしれない。
仕切価格決定方式は、それまで長く事後調整を大前提にした完全ブラックボックスの中での私事であった。行政が関与する表舞台に上がったのは、まず湾岸戦争を控えた1990年9月の原油コスト連動・月決め方式の実施であった。特石法廃止に連動した96年4月の国際価格体系への移行、週決めと月決めの平行実施、国内先物市場の誕生、08年10月からの指標連動による週決め方式が標準化、今日に至る。仕切価格に対するリセットの際に、元売トップは枕詞のように「過去との決別、事後調整なし」を内外に言明した。そうして今日に至る。
週決め標準はこれ以降、この6月までにおおまかに4回の修正が施されている。その4回は、本当に「双方で協議されて合意した結果」だったのか。そこに資本的な強者による優越的地位の乱用に近い行為はなかったのか。特に仕切価格について、エネ庁が「政策課題」とした今回は、元売2強への合併審査が平行して行われているタイミングだ。公正透明を最重視すべきは、行政の問題意識ではなく、むしろ2強になろうとする元売4社にこそ至上命題である。