日刊ニュース

2016.07.13 のニュース

守るに値するSSという存在

改正酒税法が5月末に参院本会議で可決、成立した。1年以内に施行される。ディスカウントストアなどによる過度な安売りを規制することで、「一般酒販店」の大半を占める小規模小売業者=“街の酒屋”を苛酷な経営環境から守ることが目的とされる。違反業者に対しては販売免許の取り消しといった厳しい罰則も新たに設けられた。
 “街の酒屋”がどれだけ苛酷な経営環境下に置かれてきたかは、数字がはっきりと証明している。国税庁が実施している「酒類小売業者の経営実態調査」の結果によると、規制緩和前の2001年度に業態別販売場数の70%を占めていた「一般酒販店」は、規制緩和を経た13年度には31%と半減。さらに、業態別小売数量では01年度に55%を占めていたが、13年度には15%まで落ち込んだ。
 代わって台頭したのが、13年度実績で販売場数の33%、小売数量の11%を占めるコンビニであり、同じく13%、38%を占めるスーパーマーケットであり、2%、13%を占めるディスカウントストアということになる。“街の酒屋”が彼らに侵食されてきた歴史は否定しようがない。
 「地域社会に密着し、今後の高齢化社会に不可欠の存在」として、守られるべき立場に置かれることになった“街の酒屋”だが、それはそのままSSにも当てはまる。“街の酒屋”云々以前にSSが必要とされる存在であることは論を待たないし、なによりSSには、必要とされる明確な根拠が存在する。しかもその根拠は、東日本大震災や熊本地震において、あるいは全国各地のSS過疎地において、はっきりと裏付けられてきた。
 今回の法改正に際して「なぜ“街の酒屋”を守る必要があるのか」と疑問を呈するマスコミの論調を目にするが、少なくとも東日本大震災以降、「なぜSSを守る必要があるのか」と声高に主張できるマスコミが何社あるか。SSに守るに値する価値があることは、もはや周知の事実と信じたい。
 一方で、SS業界も“街の酒屋”ほどではないにせよ、数も販売量も右肩下がりが続いてきた。苛酷な経営環境下にあることは“街の酒屋”と大差ないはずだが、守られるべき存在として位置付けられているとは、いまだに実感できない。SS業界は今後、政治になにを求め、どのような活動を展開すべきなのか。組織の方向性を示すうえでも、重要な課題と言える。

提供元:全国石油商業組合連合会
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